1998年(平成10年)5月1日(旬刊)

No.38

銀座一丁目新聞

 

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ゴン太の日記帳 (4)

目黒 ゴン太

  初対面の人と話しを始めるとする。相手が自分と年齢が近い場合、非常によくあるパターンなのが、名前を互いに確認し合った後、「高校はどこ?」となる。この、ごくごく自然な話の展開が、とても苦手である。でもまあ、ウソをつくこともないので、「ニュージーランドに留学してた。」と素直に答えるのだが、大体、過剰な反応が返ってくる。「ウソー、まじで?すげー。」…中には、そこで引いてしまわれ、会話が進まなくなってしまう人までいる。

 しかし、もしも自分も、留学経験もなく、日本の高校を出た相手の立場なら、同じ様な反応を取ると思うので、これは仕方のないことだと思う。でも、行って、帰ってきた今となっては留学ということが、別に特別なことじゃないと思うし、全然すごいことでもないと思う。特に、今の日本のご時世から考えるとそう思う。

 今や、高校、大学時、又は、小、中学時にまでも、留学は、単なる一つの選択肢としてあるようだ。電車の中吊り広告等にも、「留学ブーム到来!」、「留学生急増!!」等の文字があふれており、どんどん留学生の数は、増えているようだ。

 これは、とても良い傾向に思う。自分も留学して良かったと思っているし、別に日本の教育過程に、こだわって、しがみついている必要は全く意味ないと思うからである。しかし、がしかしである。日本が、日本の教育が合わないと言って、留学させたからといって全てがうまくいくとは限らない。これは、子供を送り出す親の立場の人に言いたい。大学時の留学以外、大半は、子供意思プラス親の考えが必要不可欠だと思うからだ。確かに、留学生の数が増え、ルートがしっかりした分、気軽に送り出せるようになったと思うが、やはり、どこに行かせようと、どんなに期待をかけていようと、運悪く失敗するヤツはいる。それは、日本にいても同じことだと思うが、留学の場合、言葉も文化もやはり違う異国の地だし、日本にいるより、失敗してしまう確率は高いと思う。自分の友人も、志半ば(志していたものがあったかどうか疑問だが)どうしてもうまくいかないヤツ、たまたま運悪くドラブルに巻き込まれたヤツ等、自分では防ぎようもないことで、帰らされる場合も多い。留学先の国にとって、留学生は外人であり、少しのトラブルでも、見逃すことなく監視しているし、又、増える留学生の量をもてあましてしまっていて、あまり以前程いい顔をしてくれない所もあるという。こうしたことをふまえると、一種のギャンブルの様にさえ思える留学に失敗して帰ってきた時、期待を裏切ったと怒るより、その子を思いやる一言を投げかけてやるべきだと思う。なぜなら、帰国してしまったヤツの受け皿は、非常に少ないと言え、そこから、又、相当辛い現実と戦う訳だからである。

 

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