2004年(平成16年)11月1日号

No.268

銀座一丁目新聞

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茶説

米軍の再編は世界戦略に基づく

牧念人 悠々

 ブッシュ政権が米軍の世界的再編を進める中で米陸軍代第1軍団司令部をワシントン州から神奈川県座間キャンプに移設する協議が日米の間で進められている。米軍再編の狙いは何か。2001年9・11事件以来テロとの新しい戦争の形態に入っている。大量破壊兵器がテロに 渡る恐れも充分ある。それに対処する為に座間の司令部が陸海空を統合軍として機動的に運営できる「戦略拠点」とする。地域は中東から東アジアまでである。
 湾岸戦争以来米軍の戦略は「敵の重心を叩け」に置かれている。第一目標が国家指導者、次が指揮統制組織、輸送機関、戦略物資、戦場の軍隊、国際テロリストの順になっている。イラク戦争が将にその通りであった。
 新聞は安保条約の「極東条項」を持ち出して批判する。日本に義務を負わせている基地提供について安保条約には「日本の安全」と「極東における国際の平和及び安全」への寄与に限られるとある。安保の枠内ではできないというのである。もっとものようにも見える。
 思い出して欲しい。湾岸戦争のとき(1991年1月〜4月)日本は百億ドルを超える拠出をしたにもかかわらず、どの国からも感謝されなかった。「カネを出すから血を流すのは勘弁して欲しい」というのは世界には通用しなかった。イラクへの自衛隊派遣の外交的成果は極めて大きいものがある。
 冷戦後の1996年の「日米安保共同宣言」は安保条約を改定しないまま日米同盟の協力範囲を「アジア太平洋の平和と安全」に拡大した。極東の範囲は「日米安保」極東以外の協力範囲は「日米同盟」を根拠とする使い分けである。その後「日米同盟を維持、強化する為の国際協力」としてイラクやインド洋に自衛隊を派遣した(毎日新聞10月22日)。現に在日米軍は湾岸戦争にもイラク戦争にも出動。その出動基地は日本である。基地提供は日米安保条約で義務付けられているが、別の面では『日米同盟の維持とその強化のための国際協力』からも要請されるというわけである。同盟とは「善悪是非を問わず守らなくてはならない。同盟を結んだ以上はよいときも悪いときも一緒にやらざるをえない」と言った元韓国連合参謀会議議長、白善華さんの言葉を思い出す。いまや世界の中での日米同盟である。

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