1998年(平成10年)4月10日(旬刊)

No.36

銀座一丁目新聞

 

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茶説

大リーガーで夢を実現、吉井投手

牧念人 悠々

 

レイバー・オブ・ラブ
金のためじゃない
大地の不思議を知ったから
やむにやまれず身体がうずく
人間だから心が動く
愛は力さ 愛が力さ
レイバー・オブ・ラブ

 人間には金のためじゃなく、やむにやまれずに働く仕事がある。一銭の金にならなくとも一生懸命に働く時がある。

 メッツの吉井理人選手が5日地元シェイスタジアムで行われたパイレーツ戦に先発、大リーガーでの一勝をあげた。価値ある一勝である。億をこえる契約金を振り切って、夢を実現、勝利を掴んだのである。

 吉井投手、32歳。金のためじゃない。男がやりたいからやったまでである。

 夫人小百合さん(32)、長男祐介君(3)を連れての渡米、この日、夫人、長男とも夫、父の晴れ姿に声援を送った。愛は力さ、愛が力さをしみじみと味わったのである。

 昨年のヤクルトでの年俸9200万円、成績は28試合に登板136敗、防御率2.99自分の信念を貫いた男の今年の年俸は20万ドル(約2660万円)、昨年に比べて6540万円の減収である。またヤクルトに残留すれば、得たであるう報酬との差は億をこえる。

 金権亡者が横行する昨今、目先にとらわれず、夢に賭けた吉井投手の行動はまことにさわやか。

 バレンタイン監督は、この日の吉井投手について「その投球はサイ・ヤング賞(最優秀投手賞、日本でいえば沢村賞)ものだ」と激賞した。

 ある野球評論家は「打者の手元でホップする直球とシュートは大リーガーでも通用するであろう。馴れられたらある程度打ち込まれるにしても、10勝はゆくであろう」と予想する。

 レイバー・オブ・ラブ(愛の労働)は劇団ふるさときゃらばんとアメリカのワンリール社との合作ミュージカルの主題歌である。作詞作曲は寺本健雄さんである。この歌を聞くと今でも胸があつくなる。吉井投手の快投に思わず、この歌が口から出てきた。

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