2004年(平成16年)1月10日号

No.239

銀座一丁目新聞

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競馬徒然草(2)

―ダンスインザムードへの期待― 

  新しい年を迎え、正月らしく「夢」の話題から書き
たい。競馬の世界では、もう何年も「西高東低」が続き、関東の地盤沈下は甚だしかった。だが、今年は微かながら、巻き返しの気配が感じられる。そう予感させるのも、昨年暮れの新馬戦に、1頭の牝馬が極めて衝撃的なデビュー勝ちを飾ったからにほかならない。中山の1600メートル、勝ちタイムは1分36秒0。それもペリエ騎手が手綱を持ったままで、追うところなしの楽勝。2着馬に6馬身差をつけた。もし、追っていたら、どのくらいのタイムを出していただろうか。「全くモノが違う。強い向かい風の中の楽勝。タイム以上に強い。スタートも速く、何も言うことはない」と、ペリエ騎手も絶賛している。関東期待のクラシック候補の出現、といえそうだ。
関西牝馬勢との比較をしてみよう。昨年暮れの阪神JF(阪神、芝1600メートル)に勝ち、2歳牝馬の代表となったのはヤマニンシュクル。勝ちタイムは、一杯に追って1分35秒9。過去に3戦して、4戦目のレースだった。それに比べると、ダンスインザムードは、初のレースで0秒1しか違わないタイムで走っている。しかも、手綱を持ったままで、追うところなしの楽勝。これだけの比較からも、ダンスインザムードの優秀さが分かる。
しかも、血統的な裏付け十分ときている。父サンデーサイレンス、母ダンシングキイ。血統に詳しくない人にも、思い当たるものがあるだろう。そう、96年
(平成8)の菊花賞馬、ダンスインザダークの妹(全妹)なのだ。それだけではない。95年(平成7)のオークス馬、ダンスパートナーの全妹でもある。姉のダンスパートナーは、エリザベス女王杯にも勝ち、牝馬クラシック2冠に輝いている。桜花賞は2着で、惜しくも牝馬3冠は成らなかったが、文句なしに一流の牝馬だったといえる。こうした血統を受け継ぐダンスインザムードだけに、期待の大きさも頷けるだろう。 
その血統のよさを十分に感じさせたのが、デビュー戦の楽勝だった。評判を裏切る馬が少なくないが、そんな中で、この馬の能力は期待に応えるに十分で、まさに非凡といっていい。しかも、今をときめく藤澤和厩舎の馬とくれば、さらに期待は大きい。藤澤和厩舎はすでに4頭の馬を新馬戦にデビューさせ、いずれもデビュー勝ちを収めているが、それらの中でもダンスインザムードは格別の存在だろう。とかく関西馬のレベルが高く、「西高東低」といわれる中で、久々に現れた関東の星として期待したい。まずは春の桜花賞まで故障もなく、無事に勝ち上がっていってほしいと祈りたい。

( 新倉 弘久)

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