2004年(平成16年)1月10日号

No.239

銀座一丁目新聞

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お耳を拝借(93)

「手作りのもの」

芹澤 かずこ

 

  今年は元旦早々に孫たちに手伝わせてクッキーとアップルパイを作った。それというのも、クリスマスに長男のところの中二になる孫娘が苺のショートケーキを作ったが、スポンジの膨らみ方が足りなかったとか、クッキーは固くて奥歯でやっと噛んだとか聞いたので、このくらいの生地の加減というのが、本などを参考にしただけではなかなか分かり難いので、実際に作りながら教えるのが手っ取り早い。
 私が洋菓子づくりのお稽古に通ったのが昭和46年2月から61年12月までの15年間。
最初の2年は月に2回、3年目からは月に1回。個人の先生宅で少人数の6人グループ。
誰しも子供や自分たちのためのティータイムをより楽しくするためのお稽古だったので、和気藹々、手よりも口の方がより動いて毎月の集まりが本当に楽しかった。
 少しずつケーキづくりが身について来ると作るのが楽しくて、お土産も手作りが多くなった。辛党でケーキ類を殆ど食べない主人でさえウイスキーのつまみにクッキーを好んだ。
特に手を取って教えなくても、娘は見よう見真似でりんごが出回るとパイなどもよく作るようになり、あの出来立ての熱々のパイを一度口にしたら、二度と冷たいパイは食べたくないと言う。高二の孫娘もケーキづくりを趣味にしている。
お金さえ出せばなんでも簡単に手に入るこのご時世に、手をかけてものを作る楽しみや、ゆとりある心を育んで成長してくれたことはとても喜ばしい。6人いる孫のうち4人は女の子なので、この子たちのために、もうボロボロになりかけているレシピのノートをワープロで打ち直して置こうかなと思っている。



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