1998年(平成10年)4月1日(旬刊)

No.35

銀座一丁目新聞

 

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お顔の回りが気になります

山崎れいみ

 重苦しいコートにサヨナラの季節になると、どうしてもオシャレへの関心は高くなる。言うなれば自分のオシャレセンスの見せ所がこのシーズン。街へ出るとそれなりに気をつかった若者に出会う。というわけで例の如く渋谷へくり出してみた。3月半ばのこととて、さすがまだコートを脱げないヤツが多いようだったが、真っ先に私の目に映ったのは彼らの「顔回り」の変化だった。

 チョンマゲヘア(いわゆるポニーティールではない)には造花の髪飾り、キラキラ光るラメメーク、こめかみ辺りにハートの付け黒子(ほくろ)……。街の流行は「顔回り」に集中している感があったのである。

 狐の耳のように頭上左右におったてた茶髪、後頭部の一部だけに残した髪を細く三つ編みにして垂らしたスダレヘア、カウボーイハットに山高帽。約1時間の観察の間に、少なくとも十数種類の「顔回り」デザインに出会ったのだから驚きである。

 聞くところによると、この春はデザインの新しい洋服がなかなか出なくてファッションに変わりばえがしないため、せめて顔の回りだけでも変化をつけて、という傾向らしい。そういえばあのジャンプの船舟木選手の顔は、スッキリシャンの眉が実に印象的だった。彼も「顔回り」に関心のある若者なのだ。

 でも程度というものがある。船木選手の眉くらいならまだヨシとするしまたそれが彼に似合っていたからいいようなもので、街の若者のスグレ、チョンマゲ、サッカーのサポーター的黒子(サッカー場なら文句ないのです)はどうもいただけない。どうひいき目に見ても美しくない。

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