2003年(平成15年)1月10日号

No.203

銀座一丁目新聞

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お耳を拝借(71)

ネタの仕入先

芹澤 かずこ

 

 娘のところの7歳になる孫は、保育園の頃から何でも先生に話すので、家の中のことが総て筒抜けだと娘は嘆いていたが、小学校に上がった今もその習性は変わらないらしい。給食の時は班に別れて少人数でテーブルを囲むようになっているようで、孫のいる班はいつも楽しそうな話で盛り上がっているのだとか。勿論、その中心をなしているのが孫であることは間違いない
「どんな話をしているのでしょうか?」
と娘が恐る恐る先生に尋ねると、
「お姉さんのことやおばあちゃんのこと、それからお母さんのことも・・・」
と、先生はちょっと言い淀んだとか。
「きっと、有ること無いことベラベラ喋っているのよ」
と娘は言うが、無いことまで脚色して喋るのは大人であって、子どもは正直だから有ることしか喋らない。それにしても、こちらまで被害が及ぶとなると孫の前でうっかりしたことは出来ない。そう思いながらもつい姿が見えないと、いつものクセで娘や高一の孫と女同士のくだらない話に興じてしまい、ハタと気がつくといつの間にか側に来て三人の話に耳を傾けている。
「またマーちゃんに給食の話題を提供してしまったわ」
と言うと、ニヤリとする。くわばら、くわばら。
でも、かく言う私も原稿のネタは身辺から拾い集めているし、この孫にも時々ご登場願うので、あまり大きなことは言えない。バナナの話も早速書かせてもらったので、いちおう事後承諾もかねて原稿をプリントして見せると、貰って帰ってもいいか、と聞く。学校へ持って行くつもりらしい。原稿を読んで先生が興味を示して下さったなら、それこそ生きた教材になるのだろうけれど・・・。



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