2002年(平成14年)7月10日号

No.185

銀座一丁目新聞

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茶説

情報提供者に金を渡してなぜ悪い。

牧念人 悠々

 テレビ東京(東京・港区)は窃盗グループのメンバ―から情報提供を受けて事務所へ侵入などの様子を撮影し、ニュース番組で放映した。特種であった。この問題でテレビ東京側は「今後いかなる理由があろうとも、取材活動に金銭の授受を絡めないよう徹底したい」などと謝罪したという(7月3日毎日新聞より)。関係者の処分までした。くびをひねらざるをえない。
 なぜ謝罪しなければいけないのわからない。新聞とテレビは異なる。テレビには映像がかかせない。ニュースには映像が欲しい。窃盗現場をとるチャンスがあったら逃す手はない。筆者がその立場に置かされたら、断乎、映像を撮る。情報提供者に何がしのお金を与えたところで、とがめだてすることはない。新聞記者時代、情報提供者に謝礼をだしたことがある。当然であろう。場合によっては、金銭の授受は伏せることもある。
 しかも、今回、予め警察にも連絡しているのだから、何ら問題はない。むしろ、防犯的には様々な教訓を与える番組になったのではないか。侵入口はどのようにして選ぶのか。犯罪者の態度、動作を克明に追えば、その心理状態がよくわかる。犯罪学的にも参考になろう。作り物の映画とは違った映像となる。「被害者に犯罪情報を伝えなかったことは申し訳なく思っている」というが、殺人事件なら取り返しのつかないことになるが、窃盗事件であれば、盗品は返ってくる。すぐあやまるのは悪い癖だ。ニュース番組をそんなに安易に製作しているのか。視聴者の知る権利に答える気概に燃えて、仕事をしているのではないか。
 新聞では殺人犯人が新聞社にきて一切を告白する例が時々あるが、この場合、会社の寮などにニ、三日泊めてじっくり取材して自首を勧めるようする。犯人隠匿罪の恐れが十分あるが、事件解決に一役買ったわけだから「以後気をつけるように・・・」で一件落着である。今度の番組が問題になるのは、テレビ側に職責を全うする志を持つものがいないからである。とすれば、問題の根は意外と深いかもしれない。

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