1998年(平成10年)10月20日(旬刊)

No.55

銀座一丁目新聞

 

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街にあふれるヒョウ柄の意味するものは……

山崎れいみ

 考えごとしながらうつむきかげんにエスカレーターに乗っていて、ふと視野に入り込んだのが前を上がる女性の“おみ脚”。ぶったまげましたねエ、マダラ模様の脚線だったのです。しかしよくよく見ると、なんのことはない、それは脚の皮膚がマダラだったのではなく、ヒョウ柄のストッキングをお召しになっていたってわけです。

 というわけで、この秋の街にはヒョウがあふれています。もちろんプリント柄の話。スカーフなどの小物だけじゃなく、ブラウスやスカート、コート、さらにバッグやボーシ、靴まで徹底的にヒョウ柄に統一した子もいて、イヤーお見事!と言った感じです。

 アニマルプリントというのはかなり前からあって、ヒョウやヘビ柄はいまに始まった流行ではありませんが、これほど街いっぱいヒョウだらけっていうことはありませんでした。しかし、流行に敏感な若い女性に限らず、5060のオバン、はては男の子にいたるまで、みんな揃ってマダラ模様。

 ファッション評論家にいわせれば「こんなにいろんな人がいろんな形で一斉にヒョウ柄を取り入れるのも極めて珍しい」のだそうです。

 そういえば、少し前までのアニマルプリントは、どちらかと言えば目立ちたがりや、セクシーを演出したい女好み、と言った風に受け取られがちでした。しかし、こうも老若男女に好まれるとなると、それはまさに偏見というもの。その証拠に街のヒョウ柄もそれほどリアルではありません。ステキはステキなりに、ダサイはダサイなりにマダラ模様を身に付けているというのが現状と観察しました。

 まさか野生動物保護意識と関係あるんじゃないでしょうネ。

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