2005年(平成17年)11月1日号

No.304

銀座一丁目新聞

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安全地帯(125)

信濃 太郎

 耕耘機持てる友あり秋高し 悠々

 毎日新聞社会部OBの秋のゴルフ会が開かれた(10月26日・飯能グリーンカントリー)。参加者21名(2名病気で欠席)、平均年齢72歳。スコアはともかくプレーが終わったあとの懇親会での各自の近況報告が面白い。耕耘機を購入して農作業にいそしむ者が二人もいるのには驚いた。ちなみに耕耘機の値段は1万5千円と3万5千円。一人は350 坪を耕して野菜などを近くの市場で委託販売をしている。顔色はよくつやつやしている。健康そのもである。郷里に帰り農業にいそしんだ先輩が土と親しんでいると自ずと心と体が良くなって行くのを感じるという話をよくしていたのを思い出す。69歳ながら個人タクシーを運転手をやっている者もいる。元気はつらつとしている。「仕事が楽しい」という。中国の遼寧大学の名誉教授になった人もいる。中国ではお酒が飲めないと仕事ができないと苦労話をする。脳梗塞で倒れ2週間入院した者は外出先から帰宅した奥さんが「あなたの顔がゆがんでいるわよ」といわれ。鏡を見ると確かにゆがんでおり。先ほどから体の調子が何となく悪かったのですぐに救急車で病院に運ばれて軽くてすんだ。「今日はOUTもINも廻われてよかった」(成績はブービーメイカー)と話す。奥さんの体の具合が悪くて買い物はすべて自分がやっているという者もいた。所用があって早く退席した男は昼食時にはいま、野口英世について調べているという。これといった業績もないのに幼児時に手にやけどを負い刻苦勉励して医者になり黄熱病に取り組み、感染して51歳で死んだという美談が戦前から教科書にのり、有名になっただけではないかと思う。実際は借金ばかりしており女性関係も評判が良くなかった。戦後教科書に復活した英雄、偉人は野口英世だけだそうだ。会の開催が春と秋の2回だが、ゴルフ場の手配、賞品集め、会員への通知など幹事は大変である。何事もそうだが会が長続きするのは幹事次第である。感謝のほかない。そういえば幹事の近況話を聞くのを忘れた。次回に話を聞こう。ゴルフの心境が著しいのでと、予め定めたハンデを10も低くしてほしいと申し出た律儀者がいたのは嬉しい限りであった。

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