アメリカ下院は国連が改革を実施できなかった場合、米国の国連分担金を50l削減する法案を多数決で可決した(6月17日)。アメリカは国連の年額予算30億ドルの22l(6億6千万ドル)を負担している。国連改革にこれぐらいの関心を持っても当然であろう。もっともこの法案は上院通過も不透明で、ブシュ政権も反対しており成立の可能性は低いらしい。米国についで2位の日本は19.468パーセント(5億8千400万ドル)も分担しているのだからもっと関心を持つてよい。どうも国連内部に問題が多いようだ。イラクの「石油と食糧交換プログラム」を巡る疑惑や国連平和維持隊員の人権侵害事件などが上げられている。国連に勤めたことのある友人の話によれば「カラ出張」も公然と行われているという。この法案が提案している内部監査委員会や倫理問題担当部局の設置、人権侵害国の国連人権委員会への参加禁止などは即刻に実施に移したほうがよい。
国連安保理改革で常任理事国を目指す日本は多数派工作に懸命である。とりわけ「大票田」(加盟国53)のアフリカ地域に経済協力をテコに支持固めを行っている。国連加盟国191国のうち128国の賛成を必要とする。あまり国連に大きな期待を抱く必要はないが、日本の国益を推進し、国際社会に向けた発言の場として活用すべきである。その国連の中で圧倒的な発言権を持ちうる機関が安保理である。世界で経済力第2位、国連分担金2位、任意拠出金、PKOへの参加などを見ても日本を国連安保理の常任理事国に参加させないのはきわめて不自然である。トム・プレート(米カルフォルニア大ロサンゼルス校教授)は「敗戦国の常任理事国への加盟はその国に対する報酬というものではなく、必要性によって決められるべきだ。常任理事国の拡大は過去を審判するものではなく、組織の若返りと実行力強化のためのものだ」と指摘、感情論で反対する中国に苦言を呈している(6月18日毎日新聞)。今、時代遅れになりつつある国連にとってお金をたくさん出して、口も出す国が求められる。その意味では日本は強力な援軍の旗頭で、歓迎すべき国である。 |