2005年(平成17年)5月10日号

No.287

銀座一丁目新聞

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安全地帯(109)

信濃 太郎

 われら地球族!

 愛・地球博に協賛した劇団「ふるさときゃらばん」のミュージカル「われら地球族!」を見る(4月28日・ZEPP NAGOYA)。石見神楽の「大蛇」スペインの「ESTAMPIDA」の音楽、山田境田虎舞を楽しんだ。さながら「歴史・地球学」の勉強会の感があった。テーマは「地球環境」。日本神話、ギリシャ神話が出てくる。石見神楽の「大蛇」はスサノオの命のヤマタノオロチ退治に格好の出し物であった。迫力があって見ごたえする。マゼランの世界一周の船旅の話が出てくる。地球が丸いことを実証するためであった。天城美枝さんが地球の説明をする。太陽との距離は1 億5000万キロメートル。赤道半径は6378キロメートル。365日で太陽を一周。24時間で一自転する。
マゼラン。ポルトガル生まれのこの冒険家は1519年9月(室町時代)、スペインのサン・ルカール港を5隻の船を率いて出港、西航して南米大陸のマゼラン海峡を発見、太平洋に出て西航、3ヶ月余でフイリピン諸島に達した。ここでマゼランは原住民に殺される。それまでに一隻が難破、一隻は逃げ帰えり、母港にたどり着いたのはただ一隻であった。出港して1081日目であった。乗員265人のうち無事に帰還したのは18人だけであった。丸い地球の実証は高くついた。
 マゼランの国スペインのカタルーニャ地方からやってきた「ESTAMPIDA」は天才家族のアルベロー一家7人である。ふるさときゃらばんとは1992年バルセロナオリンピック芸術祭で一緒にステージにたった仲間である。オーボエに似た中世期の古典楽器を中心に打楽器を入れた編成で個性的な音楽を聞かしてくれた。妙に心に残る人たちであった。
 「山田境田虎舞」は三陸沿岸地方に伝わる海の郷土芸能。舞と囃子に独特の味がある。密林のトラも獲物が暮す森がなくなり生存の危機を迎えている。地球は人間だけのものじゃない。人間以外の生き物の住むところ場少なくなってきている。フイナーレは「われらみんな地球族」の大合唱であった。第一回万国博覧会が開かれたのは1851年5月、今から154年前である。場所はロンドンのハイドルパーク。参加国14ヶ国。ビクトリア王朝の栄光を誇示するものであった。同時に世界の平和・進歩・繁栄を祝福した。閉会の10月までの600万人の入場者があった。今回は参加国は120ヶ国、4国際機関に及び、入場者は1200万人が見込まれている。

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