2005年(平成17年)5月10日号

No.287

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花ある風景(201)

並木 徹

旭山動物園は動物の遊び場である

 旭川市立旭山動物園長、小菅正夫さんが毎日新聞のコラム「学校と私」に「学校は遊びの場。学校に行かないと、夕方何をして遊ぶかの情報が入らなかった」と書いている(5月2日)。「どこかの部分でみんな個性が光っていてそれぞれが『日替わりヒーロー』でした」ともいっている。なるほどと思った。子供は遊びを通じて色々なことを学ぶ。それが大人になってから役に立つ。1995年から園長になった小菅さんは倒産寸前の動物園を部下の夫々の発想を生かして動物本来の生態をそのままみせる「行動展示」で入場者を増やし、見事再生させた。今では入園者数で全国3位になった。
 小菅園長とは先日お会いした。というよりお顔を拝見した。旭山動物園が「スポニチ文化藝術大賞」のグランブリを受賞したからである(4月20日・東京プリンスホテル)。会場に映し出されたビデオを見て驚いた。ペンギンが客の前を臆することなく行進する。水中では鳥が飛ぶ時と同じ姿をして泳ぐ。アザラシは垂直に泳ぎ、円柱水槽の中をくぐりぬけるたびに子供達の歓声が上がる。展示の工夫次第で、動物のありのままの生態が見れるというので入場者もうなぎのぼりとなり、昨年7、8月は2ヵ月連続で上野動物園を抜き、月間入場者数日本一になった。台湾やマレーシアからも観光ツアーにやってくる。ここの動物達(149種)は動物園を遊び場として自由に振舞っている。園長以下職員達ができるだけ自然に近い形でその場所作りをした。園長の話では職員達が描いた「夢の動物園」の30から40パーセントしかまだ実現していない。この動物園を見ていると何事もアイデアと熱意次第という気がする。「不況で・・・」とこぼす経営者が少なくないが、経営が思わしくないのは仕事を生かすアイデアも出さず、やる気もないからである。
 平成5年に生まれた「スポニチ文化藝術大賞」はもともと「本音の賞」「友情の賞」「共感のグランプリ」と称しユニークさが売り物であった。動物園が対象に選ばれようとは「想定外」のことであった。選ばれてみれば納得できる。他の動物園が刺激を受けて入園者のためにアイデアを競っているというから嬉しい。

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