2005年(平成17年)3月20日号

No.282

銀座一丁目新聞

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競馬徒然草(45)

―競馬の存続危機― 

  不況が続いている。競馬の分野では、去年、高崎競馬が廃止になったが、存続が危ぶまれているところは少なくない。名古屋競馬もその1つ。どうにか今年の廃止は免れたが、見通しは明るくない。すぐ近くといっていい笠松競馬が今年1年限りの開催と決定しているので、地域連鎖の事態となりかねない惧れはある。
 名古屋競馬は累積赤字を抱え、いまは年間40億円の赤字ということだ。それでも1日の売り上げは1億2000万円はあり、2つの場外発売所を合わせての入場者数も、平均6000人は確保しているという。それだけの実績がありながら、その売り上げは、どう使われてきたのだろうか。部外者には分からないが、知りたいところでもある。
 不況が続く中で、どのような対策が講じられてきのだろうか。競馬場へ足を運ぶ客のために、電車を開通させて交通の便をよくする対策もとったというが、それだけでは遠退く客の足を引き戻すことにはならなったようだ。交通の利便性だけでは、客を呼べない時代になっていることを示している。交通手段の改善だけでは、集客力の増加に繋がらない。そのことに、ようやく気付いたようだ。
 レースさえすれば客が集まるという時代でないことは、いうまでもない。競馬に限らず、消えゆくものは消えていく。淘汰されるべきものは、淘汰されていく。今、事業者は、何を考えるべきだろうか。手をこまねき、いよいよとなれば、ただ廃止すればいいというものではない。高崎競馬の場合では、知事が簡単に廃止に踏み切ったとの声が多かった。そのために働く多くの人が、何の保障もなく放り出されることになった。
 小手先だけの対策だけでは通用しない。主催者の頭の中を変えること、システムそのものを切り替えることなど、新しい時代にふさわしい変革こそが望まれる。そうでなければ、これからの時代は乗り切れないだろう。

( 新倉 弘人)

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