競馬徒然草(45)
―競馬の存続危機―
不況が続いている。競馬の分野では、去年、高崎競馬が廃止になったが、存続が危ぶまれているところは少なくない。名古屋競馬もその1つ。どうにか今年の廃止は免れたが、見通しは明るくない。すぐ近くといっていい笠松競馬が今年1年限りの開催と決定しているので、地域連鎖の事態となりかねない惧れはある。
名古屋競馬は累積赤字を抱え、いまは年間40億円の赤字ということだ。それでも1日の売り上げは1億2000万円はあり、2つの場外発売所を合わせての入場者数も、平均6000人は確保しているという。それだけの実績がありながら、その売り上げは、どう使われてきたのだろうか。部外者には分からないが、知りたいところでもある。
不況が続く中で、どのような対策が講じられてきのだろうか。競馬場へ足を運ぶ客のために、電車を開通させて交通の便をよくする対策もとったというが、それだけでは遠退く客の足を引き戻すことにはならなったようだ。交通の利便性だけでは、客を呼べない時代になっていることを示している。交通手段の改善だけでは、集客力の増加に繋がらない。そのことに、ようやく気付いたようだ。
レースさえすれば客が集まるという時代でないことは、いうまでもない。競馬に限らず、消えゆくものは消えていく。淘汰されるべきものは、淘汰されていく。今、事業者は、何を考えるべきだろうか。手をこまねき、いよいよとなれば、ただ廃止すればいいというものではない。高崎競馬の場合では、知事が簡単に廃止に踏み切ったとの声が多かった。そのために働く多くの人が、何の保障もなく放り出されることになった。
小手先だけの対策だけでは通用しない。主催者の頭の中を変えること、システムそのものを切り替えることなど、新しい時代にふさわしい変革こそが望まれる。そうでなければ、これからの時代は乗り切れないだろう。 (
新倉 弘人) |