2005年(平成17年)3月20日号

No.282

銀座一丁目新聞

上へ
茶説
追悼録
花ある風景
競馬徒然草
安全地帯
自省抄
お耳を拝借
山と私
GINZA点描
銀座俳句道場
広告ニュース
バックナンバー

花ある風景(196)

並木 徹

体験塾6期生の「ドリームライフストーリー」

 文化放送・劇団ふるさときゃらばん主催・制作、ミュージカル体験塾6期生の卒業公演「ドリームライフストーリー」をみる(3月13日・文京シビックホール)。ふるさときゃらばんお得意の「稲」「棚田」「カッパ」などが出てくる。筋を簡単に言うと棚田による村おこしである。例年に比べて今回は歌と踊りのシーンが多い。それだけに、演技・セリフはともかく6期生の団結と元気良さを十分発揮していた。演出の石塚克彦さんにいわせると観客1000人(入場者1400人)を前にしてまだまだ十分な声がでいない。だから観客の共感を自分の心に取り入れていないと手厳しかった。場慣れしたのか夜の部はうまくいったようである。何時も雛が巣立つのと同じように心配そうに芝居を見ている塾長の天城美枝さんも安堵の表情であったと聞く。
 出演者は90人。小学校4年生から70歳代まで多士済々である。半分以上がミュージカル初めて。職業別を見ると会社員10人、主婦8人、無職7人、小学生6人、中学生・高校生各3人、大学生5人その他となっている。もちろん留年組もいる。その留年組が旅館の大親父、大女将、地熱発電開発所長、旅館の女將、仲居などを務め、芸達者なところを見せる。稲を縄文人に伝えた二人(プログラムの欄の職業は学生と惑星にて誘導係とある)のカッパの動きもシャープでうまかった。龍神山に広がる棚田が休耕田になっているのを見て温泉旅館に泊まりに来た夫婦客が棚田を耕すことを申し出る。ここから温泉村の村おこしがはじまる。フィリピンのイフガオの棚田は1995年に世界遺産に承認されている。バリ島 にある棚田の真中にはホテルまである。日本では「田毎の月」と詩歌にその美しさを謳われている。「これからの温泉は文化である」と、棚田を中心に龍神祭をにぎやかに開く。この間、大親父が大女將の6000万円を無断で引き出して古陶器を買い込む騒動と6000万円を巡るうわさがさまざまに飛び交い、村はてんやわんや大騒ぎとなる。クリーンエネルギーといわれる地熱発電の是非を問うシーンもあって体験塾の芝居も環境問題の重要さを訴える。ともあれ90人が演じる舞台のエネルギーと笑顔に観客たちは天城美枝塾長がいう「心弾む明るい気分で」満足して帰宅の道についた。

このページについてのお問い合わせは次の宛先までお願いします。(そのさい発行日記述をお忘れなく)
www@hb-arts.co.jp