2005年(平成17年)2月20日号

No.279

銀座一丁目新聞

上へ
茶説
追悼録
花ある風景
競馬徒然草
安全地帯
自省抄
お耳を拝借
山と私
GINZA点描
銀座俳句道場
広告ニュース
バックナンバー

安全地帯(101)

信濃 太郎

 鎖国的感覚の北朝鮮核保有宣言

 北朝鮮は「自衛のために核兵器を製造した」と初宣言、6カ国協議参加も無期限で中断すると発表した(2月10日)。日本で開かれた「2006年W杯アジア最終予選」 日本対北朝鮮のサッカー戦で北朝鮮が2対1で破れた翌日である。北朝鮮チームが破れた最大の原因は1993年以降、北朝鮮が国際舞台から姿を消したからである。敗因は「鎖国」。日本はジーコ監督を据え国際試合を重ね、有望選手たちを外国のチームに出して練度を高める努力をしてきた。5対0で日本が勝ってもおかしくなかったという識者もいる。
 今回の「核兵器製造」の宣言はあがきである。サッカー同様国際感覚ゼロの国のたわごとである。余り深刻に受け取らない方がよさそうである。アメリカは問題にしていない。一週間も戦争をやれば石油の備蓄の底をつく北朝鮮が核兵器を保有してどれほどのメリットがあるのか。
 餓死者を放置して多くの脱北者を出しながら核開発に精を出す金正日は自滅の道を進んでいるとしか思えない。核開発のために注ぐ数億ドルがあれば国民の食糧購入のために回したらどうか。1995年以降国連機関や日本をはじめ各国は総額24億ドルを超える人道援助を行ってきた。忘れていけないのは「米朝核合意」(1994年10月)である。この合意に基づき日本は軽水炉建設費用として1165億円を拠出、韓国、アメリカも資金供与と重油の提供を行った。この間北朝鮮は「核兵器開発を停止する」という条件を守っていなかった。2002年10月、北朝鮮は核兵器開発のためのウラン濃縮計画を推進していることを認め、「米朝核合意」の無効を宣言した。北朝鮮は空証文でまんまと、大量の重油と総額46億ドルをせしめた。国際的にこのようなことは通用しない。無法者のやる仕業である。拉致問題の進展振りを見てもわかる。その効果を疑問視する声もあるが早く経済制裁を加えるべきである。その方が事態解決に役立つ。
 サッカー日朝戦のテレビ朝日の視聴率は47・2lであった。サッカーの国際試合の視聴率の第一位は日本対ロシア戦(2002年6・9フジテレビ)で66・1パーセントである。6月8日の平壌の試合は50lを超えると早くも予想されている。この視聴率の高さは北朝鮮に対する怒りと比例する。鎖国的な感覚しか持たない北朝鮮の無謀な核開発に対する日本国のサッカーフアンは柔らかく怒りを心に納めてフエアーな気持ちで応援する。

このページについてのお問い合わせは次の宛先までお願いします。(そのさい発行日記述をお忘れなく)
www@hb-arts.co.jp