松の内が過ぎると新年を迎えるために飾っていた松飾りや羽子板や獅子頭などを片付け、器なども普段使いのものと入れ替える。娘が初めてのボーナスで買ってくれた扇型のお皿や、母からせっかく受け継いだ重箱を、手入れを怠ったためにひびを入れてしまい、その代わりにとここ何年か使っている回転台つきの深鉢のセット、仏壇用のまるでままごとのような漆器のお膳、箸置き、干支の縁起ものの猪口など、一年に一度だけ使うのでは勿体無いと思いつつも、やはり年が改まっての年始用にと、暮の晦日に娘や孫の手を借りてそれらを取り揃える。
お正月だけに限らず、クリスマスやひな祭りなど一年に一度だけ飾ったり使ったりするものを片付ける時に、若い頃には考えもしなかった思いがふと浮かんでしまう。また一年後も、元気でこれらを出すことが出来るだろうか、と。
夫の古い友人に、桜の季節が訪れると「あと幾たびこの桜を見られるだろうか・・・」などと斜に構えて言う人がいた。その時はなんて気障な人だろうと思っていたが、昨年の夏に若くして亡くなってしまうと、その言葉がやけに重く感じられる。
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