2005年(平成17年)1月1日号

No.274

銀座一丁目新聞

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花ある風景(188)

並木 徹

スポニチ登山学校は創立10年を迎える

 スポニチ登山学校は今年入学する10期生(入学式1月25日)で創立10周年を迎える。昨年12月には7期生(21名)、8期生(15名)、9期生(17名)の修了式が行われた(17日・毎日ホール)。一年生の9期生も11回の基礎講座と11回の山行を重ねると、入校当初不安げでどこか頼りなげに見えたのが和気藹々として逞しく、その上顔が輝いている。7期生、8期生はどっしり落ちついて頼もしい。スポニチ登山学校校則の3か条が確実に実践されているのが良くわかる。第1条「山に親しみ、山を愛し、山から学ぼう」第2条「登山の基礎的技術をしっかり身に付け、心身をきたえよう」第3条「常に情誼のあつい人間たれ」である。
一年生には修了時に「作文」を課している。13名(ひとり7期生)がこれに応じた。他は写真を選んだ。毎年、名誉校長の私が作文の講評をする。目にとまった作文を紹介する。
「登山学校一年生覚書」の渡辺裕美子さんは「山は発見の連続」だという。
高山植物、岩、清水、白雲、鳥の声、山の香、風などなど季節により、時間により、天候に左右され様々に変化する。そのつど新しい発見がある。五感の全てが敏感になるのが解るそうだ。林道の側面の地質が気になる。これを焼いたらどんなになるだろうと考えるからである。それでいてダナ・キャランのバーゲンの買い物の話まで出てくる。感受性が強く、ものの見方が幅広い。「登山は不思議なスポーツです。人生そのものといえます。登山学校はその学校なのです」と結ぶ。
「ベーシックコース修了にあたって」の佐々木正人さん山行を詳しく書く。9期生の行動が良くわかる。9回めの巻機山の前夜、民宿で日本酒4升開けてしまった(女性4人を含む11人で)明日に応えるとも知らないで・・・とある。10回目の山行の時(鬼面山と安達太良山)宿屋で山行の準備をしていると雨が激しくなってきた。男達が躊躇していると、一人の女性が「何やってんの、だらしないわねェ。行くわよ」の一言で男性人全員山行参加した。登山学校でも女性は強い。「登山学校との出会い」で武内清志さんは「登山学校に入校して私の人生が大きく変わった」としるす。7期生の国分りんさんが詩を寄せた。「ダンニャバード(感謝)の心で」の題である。「人間いきることは/いろいろな事が起こる/高みに上がったり/淵に沈んだりはつきもの/いつも後ろを向けば/後退ばかり/全てを背負い/感謝の心で/物事を考え/進みなさい/前進しなさいとダンニャバートの講義」いい詩である。人間は幾つになっても自己完結のための旅をする。

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