競馬徒然草(26)
―マイネルレコルトの強さ―
440キロそこそこの2歳馬がいる。牝馬ならともかく、牡馬としては馬格が小さい。500キロ近い馬や500キロを超える大型馬が少なくない最近では、とりわけ小さく見える。そんな馬でも活躍するのだから、競馬の世界はおもしろい。マイネルレコルト(2歳牡・堀井厩舎)だ。6月にデビューしたばかりだが、新馬、ダリア賞、新潟2歳S(GV・芝1600)と無傷の3連勝。早くも、暮れの朝日杯(GT、中山・芝1600)に名乗りを上げている。
このマイネルレコルトの優秀さは、まず、スピード豊かな点だ。デビュー戦(福島、芝1200)が、1分08秒8のレコード勝ち。2戦目のダリア賞(新潟、芝1400)が、1分22秒0の好タイム勝ち。しかも、このときは小倉の新馬をレコード勝ち(1分08秒4)したツルマルオトメを、楽に捉えてのものだった。そして、9月5日の新潟2歳Sは、1分34秒8。前走・ダリア賞(新潟、芝1400)の勝ちタイムからは、1分35秒台の前半、速くても35秒0と推定されたが、結果は35秒を切り、改めてスピードのあるところを見せつけた。
しかも、レース振りがよい。それまでの2戦は、2番手あるいは3番手からレースを進めたが、3戦目の新潟2歳Sは、これまでとは一変して、中団待機からの追い込み。直線、大外から鋭く伸びて、差し切る。上がり3ハロンは、メンバー中最速の33秒3.鋭い末脚があり、どのようなレースにも対応できることを示した。しかも、延びた距離を難なく克服し、距離適性に幅のあることをも示した。
現時点では、これほどの馬は見当たらない。早くも、暮れの朝日杯(GT、中山、芝1600)に名乗りを上げたのも頷ける。
マイネルレコルトは、父チーフベアハート、母ミヤギミノル。特に高い評価の血統ではない。というのも、チーフベアハートはまだ活躍馬を出していないからだ。従って、一般にまだ馴染みも薄い。だが、マイネルレコルトの活躍次第では、チーフベアハートの種牡馬としての評価も上がるだろう。ついでにいえば、母ミヤギミノルの父はタイテエム。といっても、知らないファンが多いだろう。かつての天皇賞馬(1973年、天皇賞・春)だ。その血が脈々と、マイネルレコルトには受け継がれているのだろうか。まだ未知の部分を秘めている。
暮れの朝日杯(中山、芝1600)は通用するとして、距離が2000メートル以上に延びる来年のクラシックでは、どうだろうか。いずれにしても、マイネルレコルトとは、早くもそんなことまで考えさせる馬である。 (
新倉 弘人) |