2003年(平成15年)12月1日号

No.235

銀座一丁目新聞

上へ
茶説
追悼録
花ある風景
競馬徒然草
安全地帯
静かなる日々
お耳を拝借
GINZA点描
銀座俳句道場
告知板
バックナンバー

競馬徒然草(34)

―物差で測る(続)― 

  前回は、「物差で測る」話を書いた。その1つの例として、2歳牡馬の、ナムラビッグタイム(父サクラバクシンオー)を取り上げた。この馬の前走・福島2歳ステークス(11月9日、福島1200メートル)を思い出して頂こう。1分9秒0(レコード)のタイムで勝った。推定タイムより約0秒5速かったのは、福島が速いタイムが出るコースだからといえる。
 このナムラビッグタイムが、11月23日の京都、もみじステークス(1200メートル)に出走してきた。ナムラビッグタイムの前走のタイムからすれば、約0.5秒はかかるとしても、最速のケースで1分9秒5は出し得るはずだ。他に1分9秒台を出し得る馬はどれか。それが有力な相手探しとなる。過去に9秒台の後半を記録している馬は3頭いて、一応の相手候補となる。このうち休養明けの1頭を軽視すれば残りは2頭。このうち9秒台後半を続けて2度記録している馬(テイエムボッケモン)は、対抗馬の筆頭と考えられる。さて、実際のレースはどうか。このテイエムボッケモンが、5番人気だったが2着に入った。タイムは1分9秒8。ほぼ推定通りの結果だった。1着ナムラビッグタイムの勝ちタイムは1分9秒4。これまた、ほぼ推定通りだった。なお、3着馬(キャメロンガール)も、前々走で9秒台後半を出していた馬で、この日は1分9秒9だった。ナムラビッグタイムを物差にして、有力馬探しをすると、こんなふうである。
 このナムラビッグタイムの次走の予定だが、12月27日の中山、クリスマスローズS(1200メートル)のほか、12月14日の朝日杯(1600メートル)も視野に入れているという。距離の短いクリスマスローズSのほうがベターと見るが、レースの格が高い朝日杯(朝日杯はGT)への出走は、やはり関係者にとっても捨てきれない夢なのだろう。ただ、問題は距離が2ハロン(400メートル)延びることで、大きな試練のように思われる。「マイル(1600メートル)でも不安ない」と見る向きもあるが、距離適性に一抹の不安がある。ゴール前、鋭い差し脚を使う馬に交わされる場面があるかもしれない。それでも一応1600メートルの推定タイムからいえば、1分35秒台前半のタイムを出し得るはずだ。これに匹敵するタイムを持つ馬が有力となる。速ければ、1分35秒を切るだろう。そんな可能性のある馬を探したい。
 2歳馬のことについて、話題を変える。これからは中距離をこなせる馬の見極めも必要になる。その意味では、1800メートルの距離で争われた東京スポーツ杯2歳S(11月22日、東京)など、参考になる。1着(アドマイヤビッグ)、2着(フォーカルポイント)が同タイムの1分48秒9。3着(キョウワスプレンダ)が1分49秒0。1800メートルのレースでは、49秒を切れるかどうかが、今後の有力馬探しの1つのポイントになるだろう。このレースに勝ったアドマイヤビッグは、レース後、骨折が判明した。中距離で活躍しそうな馬は、今後新たに何頭も出てくるだろう。中距離で物差になる馬を見つけたいものだ。

(戸明 英一)

このページについてのお問い合わせは次の宛先までお願いします。(そのさい発行日記述をお忘れなく)
www@hb-arts.co.jp