2003年(平成15年)10月20日号

No.231

銀座一丁目新聞

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花ある風景(145)

並木 徹

1,000自治体が笑って泣いた

  劇団「ふるさときゃらばん」のミュージカルは新作を見ても、同じものを何回見ても笑って泣かされる。それでいて元気が出る。その公演が今年の8月22日静岡県島田市で1,000自治体目の上演を達成した。1983年(昭和58年)2月25日福岡県瀬高町で「親父とお嫁さん」を旗揚げ公演をしてから20年で成し遂げた金字塔である。
 1983年は私は毎日新聞西部本社(北九州市)の代表であったが、その存在を全く知らなかった。そのとき筑後地方で23ステージの公演をこなしている。しかも西部本社管内の熊本(19)長崎(1)鹿児島(18)宮崎(1)でそれぞれ公演している。まさに灯台もと暗しである。ふるさときゃらばんを知るのはそれから6年後である。郷里の長野県下伊那郡喬木村の村政百周年記念講演に招かれた際、松島五郎村長から近く記念事業の一つとして「ムラは3・3・7拍子」を上演するときかされたのがふるさときゃらばんを知っるきっかけであった。それからスポニチの社長時代、日米合作ミュージカル「レイバー・オブ・ラブ」を手伝い、「裸になったサラリーマン」でスポニチの「第4回文化芸術大賞」をスポニチ社長として贈る羽目になる(1996年4月)。この文化芸術大賞の推薦文は私自身が書いた。相当のめりこんでいる。「なんと人使いの荒い劇団だろうと思いながらも私はなんとなく使われしまうのが不思議だ」と銀座江戸城主・佐藤勝久さんが書くが、同感である。
 2001年2月、人口最小自治体620人の和歌山県伊都郡花園村へ「噂のフアミリー1億円の花婿」を見にツアーにも参加した。人口1,000人以下の山村が全国に24か村があるという。当時の村長で歌人でもある部矢敏三さんは知っていた。ユニークな方で「村がよくならなければ日本がダメになる」と村おこしに励んでおられた。公演に反対した村会議員がミュージカルを見て部矢村長に涙をふきながら「申し訳なかった」と頭をさげた話をなつかしく思い出す。ともかく、おめでとう。いつまでも初心を忘れずにいて欲しい。

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