2003年(平成15年)9月10日号

No.227

銀座一丁目新聞

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競馬徒然草(26)

―高額馬は走るか?― 

  関西の3歳牡馬カーム(父サンデーサイレンス、母フランクアーギュメント)が話題になっている。00年(平成12)のセレクトセールで3億2000万円もの高額で落札され、注目を集めた馬である。本来なら、昨年6月の新馬戦でデビューするところだったが、それが叶わなかった。馬に弱いところがあり、仕上げに手間取った。加えて昨年1月、右前脚の蹄骨を骨折するというアクシデントにも遭った。それが1年遅れでデビューしたと思ったら、なんと14着の惨敗に終わった。着順はともかく、「無事に走れてよかった」と、関係者は一応ホッとした様子のようだ。だが、次に勝てるという保証はない。むしろ、難しいと見られる。早期に引退して、種牡馬への道を選ぶことになるかも知れない。なにしろサンデーサイレンスの産駒であるからだ。だが、それにしても、3億2000万円とは、高い買い物をしたものだ。
やはり高額馬での話題といえば、2歳牡馬のハイアーゲーム(父サンデーサイレンス、母ファンジカ)。
01年(平成13)のセレクトセールで、1億5000万円(同年2位の高額)で落札された。8月10日の新馬戦でデビュー予定だったが、調子が悪く延期になった。スタートの出も悪くて練習に時間をかけたが、今度はゲートの入りが悪くなったともいう。デビューは遅れそうだ。晴れて出走となれば、そのレース振りが注目されるが、果たしてどうだろうか。
 競馬の世界では、サンデーサイレンスの産駒というだけで人気になり、価格も高い。ブランド品の中でも最高級のブランドにあたるのだから、やむを得ない面がある。それにしても、走る(活躍する)かどうか分からないのに、億の値がつくのは(安い場合でも数千万円)、驚くべきことだ。もし、期待はずれに終わったら、その損失は大きい。昨年のことだが、1億7000
万円の期待馬が、デビュー前に死んでしまったことがある。サンデーサイレンスの牝馬だった。期待通りに走っていれば、クラシックの前にもいくつか勝てただろう。また、桜花賞やオークスでの活躍も見込めただろう。ちなみに桜花賞の優勝賞金は8900万円、オークスのそれは9700万円。そのどれもを手にできなかった。ハイリスクの1例だろう。
 とはいえ、今年もサンデーサイレンス産駒に対する人気は高い。近年、サンデーサイレンスほどの大種牡馬はいなかった。その後継馬が、遺児の中から現れることへの期待は大きい。それがセリにおける高額化に反映している。果たしてどんな大物が現れるか、これから始まる秋競馬の見所の1つである。

(戸明 英一)

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