2003年(平成15年)9月1日号

No.226

銀座一丁目新聞

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安全地帯(54)

時事川柳が面白い

信濃太郎

 定期購読している雑誌「偕行」の「川柳教室」の時事句が面白い。この雑誌は士官学校・幼年学校・自衛隊のOBたちの月に一度出す会報である。9月号を拝見すると、秀句がならんでいる。

 キッパリとお詫びの言えぬ親ばかり  (53期八木謙次)

 「新潮45」9月号で小学校の先生がこんなことを書いている。『「学校はこの件(長崎の幼児殺害事件)に関しては何の過失責任もない」と堂々というべきである。残酷のようだが、記者会見しなければならないのは加害者の親なのである。こんな事件が二度と起こらないように、少年の生い立ちや、育ちを語るべきなのだ。自分たちの過ちを世間に公表する事が、とりあえずの責任のとり方だ』同様趣旨のことを本紙も7月20日号の茶説で取り上げた。

 大義とは後で勝者がつくるもの    (59期野地二見)

 イラク戦争の大義が問われているが、クラウゼヴィッツは「戦争は政治の延長なり」といった。勝てば官軍である。政治とはそんなものである。もちろん、反撃も食らう。国連駐イラク事務所の入った「カナルホテル」が爆破され多くの犠牲者を出した。大義は高くつく。

 呼び出しの行革相は看ているだけ     (59期早川賢一)

 月刊『文芸春秋』9月特別号の『変人内閣全閣僚を採点する』では石原行革相は18人いる閣僚中下から4番目である。平均点数は45点である。なお福田康夫官房長官と同じ点数である。国民はよく見ている。

 選考委員のNさんは次のような選後評を書いている。『偕行柳壇はその参加人数でもレベルでも最高のクラスに入ると自負してよい。選者が複数で幅広い流派や主義を抱擁して、各分野での優れた句を選んでいる。なんと言ってもその特色は川柳によって「もののふ文化」「将校文化」を世に送り、後世に残そうと言う願いである』

4月号から最近の号までの私の好きな句を選ぶ。

  人民は飢えて兵士は高楊枝    (53期小西十郎)
  日本海名を変えるなら拉致の海  (55期今井重松)
  油売りだけでいいのかインド洋   (幹23期金沢孝一)
  北鮮が有事の不備をあざ笑い    (59期今泉丈彦)
  マスコミは反戦デモがいつも好き  (54期三浦 勝)
  落語家がイラク戦争解説し    (少20期伊達賢次)
  愛国は辞書見てくれと教育法   (52期中野 直)

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