2003年(平成15年)3月20日号

No.210

銀座一丁目新聞

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茶説

株価低迷と日本経済

牧念人 悠々

 このところ株価が8000円台を下回るなど低迷している。戦争は「買い」などというのは昔の話のようである。株の売り買いはしないが、株価は日本経済を診断するひとつの指標として関心はある。昨今は必ずしも日本の経済の実態を表わしていないように思える。だから、株価が下がったからといって大騒ぎする必要はない。
 銀行は25兆円の株式を保有しているので、株価の下落は自己資本の減少につながる。信用不安を起こしかねないが、庶民の方が銀行に期待をしていない。そんなに心配することはあるまい。企業にしても売上を伸ばすより借入金を減らした方が利益が出るというので、借入金を返し始めた。これまで年間50兆円も借りていたものを今では逆に20兆円も返済の方が多くなっている。
 もともと株や土地の値下がりから来る資産市場のデフレ対策はあまり打つ手がない。先に日銀が銀行の保有している株を買い取ることにしたが、今回も株価指数連動型上場投資信託や不動産投資信託購入の話がでている。これまで日本経済はインフレの経験はある。デフレの経験はない。打つべき具体的な対策を知らない。非難を恐れずに適正な施策をとったらよい。
 個人資産は1400兆円。毎年20兆円づつ増えている。個人は相変わらず全所得の8〜9lを貯金に回している。いじましい日本人である。土地の価格はこの10年で1000兆円暴落した。税制で土地の流動性をよくする方法をみんなで考えたらどうか。
 世界を動いている資金量は300兆ドルという。想像を越える数字である。ちなみこ世界のGDPは30兆ドル、うち日本は5兆ドル、アメリカは9兆ドル。アメリカは人口が日本の3倍だから本来は15兆ドルぐらいなければおかしい。それだけ日本人は勤勉で、技術力を持っているということである。ともかく300兆ドルが為替、株、土地をめぐっておお暴れされたらたまったものではない。今日本は魅力がないということでそっぽ向かれているにすぎない。そのうちまた日本に上陸するかもしれない。それなりの防衛策をたてねばならない。自由市場などという幻想にだまされていては、残酷、無情のこの世界で生きていけない。

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