安全地帯(37)
−財政難に志木市が広告取り−
−真木 健策−
埼玉県志木市で新年度の4月から市の封筒、市内循環バスの車体、駅前駐車場、駐輪場に通じる通路内壁などに広告を掲載して財源不足を補う。年間数百万円の増収を見込んでいるという(2月6日毎日新聞埼玉版)。市は広告掲載基準規定や広告掲載審査委員会を設置する。適正な広告が確保できるかなど約100社の企業にアンケート調査をしている。
どの地方自治体でも税収の落ち込みで苦労している。一、ニ審ともに敗訴した東京都の外形標準課税(銀行税)などはその典型的な例である。都ではさらにカジノの導入さえ検討している。
ところで広告は案外難しい。志木市に意地悪な質問をする。パチンコ店が広告を出したいといってきたらどうするか。「YES」か「NO」か。一般紙は拒否している。新聞広告倫理綱領を見ると、1、新聞広告は真実をつたえるものでなけばならない。2、新聞広告は紙面の品位を損なうものであってはならない。3、新聞広告は関係諸法規に違反するものであってはならないとある。
パチコン店の広告拒否の理由は何か。この綱領の2項しか考えられない。新聞と行政は大いに違うが、公共性を持っている点は共通している。
いまパチンコは主婦の間で大流行である。イライラ解消には良い娯楽である。毛嫌いする必要はないと思う。ここが難しいところである。市の体面を考えていたら容易には広告は集らない。といって無原則にしたら必ず市民から非難がくる。予めあらゆる場合を想定したい。たとえば、建設会社が市内循環バスの車体広告買い占めが考えられる。どのような対応をするのか。下手をすると役所と業者との癒着と批判されかねない。
審査委員会の責任はきわめて重大である。老婆心ながら言って置くと委員長には常識があるが、胆力のある人物を据えるのが肝要である。ともかく、やらないよりやったほうがましだから成果があがるよう期待したい。 |