今年はイラク、北朝鮮から目を離せない。ブッシュ大統領がこの両国を「悪の枢軸」とよんだのは、正解であった。だからといって戦争を扇動するものではない。ヨハネ黙示録に「不義をなす者はいよいよ不義をなし、不浄なるものはいよいよ不浄をなす」とある。この両国を見る限り、罪悪が積み重ねられて行くような気がする。どこで歯止めをかけるのか。あくまでも話し合いか、それとも強硬手段か。えてして議論はエスカレートする。
北朝鮮は拉致問題が未解決である上に、核開発を宣言、さらに核封印撤去の擧にでた。国民が飢えに泣き、海外へ脱出する者があとをたないというのに、このあがきはあきれるほかない。拉致問題にしても、明らかに、日本の主権を侵害しており、特殊部隊による日本に上陸しての拉致は「侵略行為」といわれても仕方のない国際法上の不法行為である。謝罪したからといってすむ問題ではない。拉致問題の完全解決、核開発凍結など安全保障が解決してからあわてずに、日朝の「経済協力」を進めるべきだ。世界が注目している。心して交渉に当たってほしい。
イラクが大量破壊兵器、生物化学兵器を保有しているのは疑いの余地はない。だから、アメリカは臨戦体制にある。日本はどこまで応分の協力ができるか、とくと、考えておくべきであろう。
一方、国内政治はどうか。安心してみておれない。それを端的にあらわしたのが道路関係四公団民営化推進員会の「意見書」(昨年12月6日)をめぐる道路族の醜態である。その醜態ぶりを自覚していないところに度し難いものがある。もともと前向きに物事を処理する思考がない。民営化推進委員会は法律に基づいて設置された(平成14年法律第9号)。委員会の議事は過半数で決めることになったいる。だから両案併記は委員が賛成多数でなければありえない。「意見書」は多数決で決められた。この採決に文句をつける政治家のほうがおかしい。「意見書」は「国民負担が少なくなるような債務(40兆円)の返済方式と必要性の乏しい道路は作らない仕組みを考察した」ものである。また道路を作る場合の方式も提案している。絶対に道路を作らないとはいっていない。国民の立場に立った「意見書」であるといってよい。「虚偽と不正は常に厳しく糾弾され、真面目に働く者の努力が報いられ、未来に希望を抱くことのできる日本国にするための改革である」ともうたっている。
道路族がこぞって反対するのは、これまで道路建設が選挙の「票」に結びついていたか、または何らかの意味で利権と結びついていたかを物語るものである。ここでも不義をなすものはいよいよ不義をなし、不浄をなすものはいよいよ不浄をなすのである。国民の見ている前で堂々と「不義」「不浄」を口にしている。道路公団改革が骨抜きになったら、小泉首相は退陣するほかないであろう。委員会設置法によると、「委員会は意見を受けて講ぜられる施策の実施状況を監視し、必要あるときは、内閣総理大臣または内閣総理大臣を通じて関係行政機関の長に勧告するものとする」とある。委員会だけでなく国民もまた監視せねばならない。そうでなければこの国はいつまでも不義と不浄のはびこるのにまかせることになる。
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