2003年(平成15年)1月1日号

No.202

銀座一丁目新聞

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花ある風景(116)

 並木 徹

 スポニチ登山学校(校長、八木原圀明さん)の7期生の卒業文集「サガルマータ」が出た。山男、山女20人の作品が収められている。昨年もこの欄(平成14年1月1日号)でこの文集のを取り上げたが、実に面白く興味深い。7期の特徴は「思いやり」である。昨年の6期は「団結」であった。
 この学校では座学を受けないとその月の山行は参加出来ない。座学で登山の基本的な事柄を教わる。「団体登山は思いやる心だと座学で教わった。スポニチ登山学校のように座学をこれだけ取り入れ懇切丁寧に講習しているところはないと思う」(平井彰さん)その通りである。講師陣を含めてその内容とともに世界一の登山学校である。「登山の事故死の中で疲労凍死は最低である。疲労凍死は細心の注意を払いさえすれば防げる事故なのだから」と繰り返していた尾形好雄講師の話も紹介されいる(佐藤進さん)。山で凍死する事故が後を絶たない。山の基本的な知識がない者が登山するのは自らを死に追いやるものである。山の遭難の99パーセントは本人の過失である。
 「登山をはじめてゴミ問題に関心を持つようになった。電車の中・駅でもアキ缶、新聞は持ち帰ることに注意している」(田中登志明さん)。こんなところにも登山学校の成果が現れている。
7期の「思いやり」の雰囲気作りに大きな役割を果たした人は尾崎孝子さんである。知人からスポニチ登山学校の存在を知らされて「入校しないと人生の大きな損失」と山の仲間7人とともに入ってきた。既に山の経験がある女性陣だけに万事に他の7期生をぐいぐいと引っ張っていったようである。
 登山学校のことはたった4行しか触れていなかったが、感動したのは高畑真由美さんの作文であった。ニセコ・アンヌプリヌから比羅夫へ縦走の途中友人が滑落し、助けようと思いそのまま飛び込み、自分も遭難してしまった。救出されたとき友の安否を気遣った。「自分が苦境に陥ったときでさへ、他人のことを思いやることのできる人はリーダーの資格がある」といわれる。このひとにはリーダーの資格がある。遭難時の彼女の行動は冷静で参考になる。
 「山を歩くことと人生をあるくことは重なる部分が多いことをたくさん教えていたただきました」「スポニチ登山学校の校則がそのまま私の人生訓になりました」(吉田由美子さん)。この人はしっかりと人生と向き合っている。
歌を読んだ人もいる(田尻喜久子さん)

 人の命いくたび呑みし谷川岳今朝み霊碑の上空蒼し

 やや暗き樹林を抜けて展けたる金色の原紅葉の丘

 田尻さんは「山道をあるくのを自分の人生の歩調とあわせ、これからも楽しく続けてゆきたい」とのべている。

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