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私たちは無限の可能性を秘めている
牧念人 悠々
まあ、たまにはこんな話にも耳を傾けてください。 20年ほど前から無意識の働き、潜在意識の活用といったことに興味を覚え、今日に至っている。まだよくわからない。本は、心理学、神話、聖書、成功の法則などを手あたり次第、読んでいる。 具体的に無意識の働きと関係する言葉は「火事場の馬鹿力」であろう。火事の際、日頃はとうてい持てない重いものを外へ運べる。不思議な現象である。これが無意識のなせるワザである。火事という緊急事態が無意識を刺激し、意識を集中させ、一瞬、思いがけない力がでるのである。日常生活に中では容易にはできない。訓練すれば意識を集中するのは可能である。 スポーツの場合、集中力を発揮しないとよい結果が出せない。野球では投手は、吐いたり、吸ったり呼吸を整えるという。 プロゴルファーの坂田信弘さんは「ケンカで、息を吐きながら下がる相手は要注意だ。ケンカ馴れした男である。いつでも強烈なパンチが出せるからだ」といっている。 スポーツでは呼吸法が大いに関係がある。つまり、無意識の力を出させるためである。 もちろん、呼吸法だけではないであろう。体の使い方、重心の置き方、力の入れ具合、リズム、間などさまざまな要素が加わって、その人の「実力」を出せるのであろう。 次に関係があるのが「言葉」である。 「ヨハネ福音書」に「はじめにことばありき」とある。『混沌の闇に「ことば」が働きかけて調和の光が生まれる。ことばによる秩序の創造である』と西山清さんはその著書「聖書神話の開読」(中公新書)で述べている。 無意識の世界は意識のそれより広く、混沌としている。この混沌にほどよい言葉を支えれば、それなりの良い結果(光)が生まれるのではないか。ことばによって何かが創造できるように思える。 たしかに、「頑張るぞ」「どっこいしょ」などの掛声は無意識を刺激、体に力を与える。 格言「天は自ら助くる者を助く」を毎日のように口にすれば、自ずと自助の精神がわいてくる。 また、数多く出版されている「成功の法則」は“悲観的言辞を言うな”と、常に前向き思考をとるよう教えている。これも実行すると効果がある。 先に引用した西山清さんは、ジョン・キーツという詩人を中心に、 19世紀イギリスのロマン派文学を研究されている。その研究の過程でロマン派の多くの詩人が、じつは精神の内奥にきわめて神秘的で宗教的な詩想の核を宿していることに興味をひいたと書いている。この指摘は示唆に富む。文学作品にしろ芸術作品にしろ、いずれも作者、芸術家の精神の内奥にある核、「創造的思想の核」から生まれるのではないか。無意識の働きといってよいであろう。 人間が無意識を持つ限り、無限の可能性を秘めているのである。そう思えば、きょう一日が楽しくなる。
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