2002年(平成14年)12月1日号

No.199

銀座一丁目新聞

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ある教師の独り言(8)

-色々な教師がいる−

−水野 ひかり−

 先にも書いたように、私は教師のなりたての頃はコンプレックスで一杯であった(今も色々あるけれど)。殆どの教師は国立の名のある大學を出て、教育を専門に学び自信に満ちて入るように見えた。同期生も校長と同じ大学の出身と言う人がいて、もうスタートから違っているという感じがした。皆が優秀な人ばかりで自分と違うと感じていた。けれどだんだんに色々な教師が入るのだと言うことが見えてきた。
A教師は厳しい指導で子ども達から恐れられている存在であった。集合、整列が早く講話朝会などでは微動だにしない。その指導では校長からも良い評価を受けていた.そういった教師のクラス破綻人が出張のとき、なんとなく気がが緩んで騒がしくなる事が多いが彼のクラスではそういうことはが一度もなかった。他の教師が様子を見に行くと整然として書き取り等をしている.掃除や給食の時間もテキパキとこなす。どうやったらA先生のように子どもを躾られるのだろうとうらやむ声もあがるほどであった。
 A教師が受け持った後に担任するのは大変そうだった。少しでも気になる行動をする子どもがいると、Aが現担任がいようがいまいがお構いなしに「こんな事は俺が担任の時にはありえなかったことだ」といい、「だからと言って俺が全ての子どもを見てやることは出来ないよなあ」と言う。嫌味な奴だな後私は思っていた.それからきっかけはなんだか忘れてしまったけれど、彼のクラスに私が図工で何時間か関わることになった。最初の時間でびっくりしてしまった。ビシッとした態度で迎えてくれた子ども達。張り上げた声で「これから先生に教えていただきます。よろしくお願いします」と言う。私は思わず恐縮してしまった。「ちょっと嫌だ。こんな感じ」と心でつぶやいた。だらだらと緩慢なムードで授業が進むのは好まないが,これは変だと思った。なにより変なのは一人一人の子どもの表情がない。これでイメージを広げて作品つくりに取り組むなんてことができるのだろうか。さらに驚いたのは私が話している間中変な緊張感があるのだ。
 そこでイメージスケッチをしているときに子ども達の観察をした。よく見ていると、何人かの子どもが何かを記録している。何をしているのだろう。近づくとさっと隠す。無理に取り上げるのもと思われたのでまずは子供たちと関係を深める事にした。

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