2002年(平成14年)12月1日号

No.199

銀座一丁目新聞

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お耳を拝借(67)

-もうヘロヘロ

芹澤 かずこ

 

 「あ〜あ、疲れた、遊びにゆくか!」という自動車のコマシャルがあるが、あれは、ちょっと疲れた、気分転換でもしよう、というまだまだ余力のある若い人の疲れ方だろう。疲れにも体の疲れ、頭の疲れ、精神の疲れといろいろあるが、特に精神の疲れは血圧を上昇させて体調をもこわしてしまう。体の疲れも加齢とともに回復が遅くなり、そこへ頭の疲れが加わると、もうクタクタ、ヘロヘロの状態になる。
 この11月から簿記とパソコンの「社会人コース」へ通い始めたが、商業高校の生徒が1年がかりで習得する簿記を3ヶ月で叩き込もうという授業なので、1日6時間の科目が総て簿記という日が多い。
パソコン会計の授業に入る前に簿記の何たるや知るために、数字を手で書き込んだり、電卓で計算をしたりして、体と手で憶えることが肝腎だと言い、簿記というのは数字を扱うけれど数学ではなく、問題を読み取る読解力だと言う。
 これまで正式に簿記を習ったことがなくても、その会社の業種に合ったやり方で何とか経理を勤めてきたので、その辺のことはよく理解できるが、実際には毎日仕分けをして帳簿につけ、月に一度に試算表を作り、年に一度期末に決算表を作る作業を、授業では短時間に、間違えやすいような数字を並べた問題を読み取り、その場で仕分けをして合計試算表から清算書までを作ってゆくという、いわゆる検定のための授業を、毎日やっているような状態なので、一日が終わると足がむくみ、肩がこって、目がチカチカする。
 この状態のまま週末になると、もうクタクタでヘロヘロ。ここまで来ると、帰りに寄り道をしょうなんて気分には全くなれずに、家にまっしぐら。欲も得もなくなって、行くつもりで求めた青年座の「ハロルドとモード」のチケットも無駄にし、休日に孫と約束した「ハリーポッター」の映画もキャンセル。発売になった4冊目の本も読んで、上映を楽しみにしていた孫には可哀想だが、ロングランでまだまだ上映期間は長いから、なにも混雑が予想される初日に行くことはあるまい。それに土日に疲労の回復を計らないと後が続かない。自分の健康は自分で守るしかないので、なんと言われようとこれからも自分勝手を通すことに決めている。



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