安全地帯(22)
−趣味にも人柄が出る−
−信濃 太郎−
同期生の霜田昭治君は写真を趣味とする。毎年海外へ出て撮影する。今年は5月に中欧に出かけた。ジャパン・フォトクラブの会員で、同会が開いた「世界の色/日本の色」特別展(8月30日から9月5日・会場東京有楽町、富士フォトサロン)に写真一点を出品した。
「中世を訪ねて」(スロバキヤ・プラチスラバ)の写真は出色であった。プラチスラバは1993年、チェコとわかれてスロバキヤの首都となった。町並みは中世の面影を残している。その石造の家並みを撮っている。中世の雰囲気が良く出ている。手前の建物は白壁で、窓がひとつと宗教画2枚がはめこまれている。その隣は赤レンガが剥げ落ち黒ずんでみえる。窓が4つ。このコントランスに加えて手前3分の1が影で、影絵のような二人の女性が浮かび、若い女性が僅かに覗いている教会の塔の方をゆびさしている・・・豊かな詩情を感じた。
特別展には100名の会員が143点出品した。このうち「人間」のいる写真が20点あった。この会は1993年、「楽しく写真をとろう」を合言葉にして活動してきたという。3年前、はじめて会の展覧会見て驚いた。殆どが風景写真であり、花を撮ったものばかりであった。新聞記者であったので人が写らない写真には全く興味がない。なぜ人間をいれて写さないのであろうかと疑問を感じた。霜田君にこの疑問をぶつけると共に「会員はみなお年よりで、枯れた人たちなのでしょう」と皮肉った。
この私の挑戦を受けて、霜田君が見事答えてくれた。さすが同期生である。後刻この写真とハンガリー国会議事堂(ブタペスト)の写真2枚(5月撮影のものと8月の大水害で水浸しになっているもの)を贈ってくれた。 |