小泉純一郎首相が9月17日北朝鮮を訪問、金正日総書記と会談する。国交のない国へ首相が行くのは1972年9月の田中角栄首相が中国を訪れて以来という。諸手を上げて賛成する。
正直に言って、北朝鮮は嫌いな国である。ブッシュ大統領が「悪の枢軸」の一国に名指したように大量破壊生物兵器を保有、ミサルを開発、輸出しており、油断がならない。懸案の拉致問題も未解決のままである。それだからこそ、国交の正常化を時間をかけても図るべきだ。さらに、日米、日韓関係、北東アジアの安定を考えればその影響するところは大きい。
首相の訪朝に反対論が少なくない。当然だと思う。新しく事を始める時、人は金がない、人材がいない、準備不足であるなどの理由をあげて反対する。多くは時期尚早という。新しい事を始める時、時期尚早といっていては何事にも手をつけられない。仕事は「常に今がチャンス」である。政治も同じである。
北朝鮮は一筋縄では行かない。金正日総書記はしたたかだといわれる。韓国との国交正常化交渉も13年、かかっている。この間激しいやり取りがあって日韓会談が中断、再開まで4年9ヶ月を要したことがある。この中断もって「交渉失敗」と見るか「交渉の一過程」とみるかは、その人の識見による。日朝首脳会談もそう簡単に行くとも思えない。せくことはない。小泉首相も意見がかみ合わなければ、金正日総書記とケンカをすればよい。「ケンカは仲良しの始まり」といわれる。「何を訳のわからない事を言ってやがるんだぃ」とタンをきる気構えが欲しい。
金大中大統領から「彼は変な人と思われているようだが、けしてそうではない。世界のいろんな情報を良く知っている。ぜひ、話をしてみてはどうか」(今年3月22日の会談・9月2日毎日新聞より)といわれて、行動を起こさないほうがどうかしている。
小泉首相の「政治生命を懸ける」(本人はこの発言を否定)の言葉を捉えて鞘を捨てた佐々木小次郎に似ていると評したコラムがあった。小泉さんは「いまがチャンス」と判断したのである。金さんが日本に来なければこちら出かければよいではないか。捨てた鞘は国民が拾って小泉さんへ「また頑張れ」と返してやればよい。日朝正常化へ努力している男にいささか手助けするのがもののふというものであろう。
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