2002年(平成14年)7月20日号

No.186

銀座一丁目新聞

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茶説

老後は「心穏やかに過ごしたい」という

牧念人 悠々

 吉永みち子さんの書いた「老婆は一日にしてならず」(東京書籍刊・定価本体1400円(税別))を読んだ。ともかく人間は老いるのだからいろいろ準備しておけということらしい。50歳を迎えた団塊世代ならずとも参考になる。老いの過ごしかたは、その人間の生き方、性格とかなり関係してくるような気がする。でも多くの人は「心穏やかに過ごしたい」と思っているであろう。
 筆者の場合を考えながら、この本を検討した。本に即して基本的なデータ―を書く。76歳。73歳のきわめて元気な妻と年金生活である。一軒家で持ち家である。二人とも大病をしたことはない。本心から二人の子供(長女50歳娘あり。長男47歳、子供2人あり)の世話になるつもりはない。120歳まで生きる目標をたてている。70歳からのモットーは「あせらず」「ゆっくり」「のんびり」である。この年になって何事にもあわてるのはろくなことはない。
本書によると、筋肉再生のためトレーナーによるトレーニングを進めている。年をとると、歩かなくなるし、運動もしなくなるから良いであろう。私は58年間毎朝、冷水摩擦をやっている。終わると、10分間の柔軟体操をする。歩くのは毎日最低8000歩を心掛けている。要は自分の体を守るのは自分自身である。「天は自ら助くものを助く」である。
 車椅子の世話にならないと思うが、事故にあい車椅子に乗らざるを得なくなった日本の青年にアメリカの医者が言った言葉が凄い。「これから車椅子で過ごすことになるけれど、これまでの生き方、希望、夢、何一つ変えることはありませんよ。ただ、方法が変るだけで、可能性は変わらない」。この気持ちの持ち方は大事である。
 マンションの章は関係ないのでさらりと読みくだした。それでも「介護付き終身利用型」の高齢者用マンションは興味があった。リバース・モーゲージ(「逆の住宅ローン」)は考えてもよい。性格的にいうなら、リスクいっぱいのフランスのリバース・モーゲージを選びたい。何も子供に「美田を残す」必要はない。ここで、パソコンについて一言する。私は73歳から始めた。パソコンは奥が深いからやみつきになる。メールの打ち方、世界中のホームページを見るぐらいまでなれば、本の購入、キップの予約は簡単にできるようになる。ぜひともお進めしたい。
 さて、死に方である。「じゃあね」ぐらいで終わりたいと私も思う。無理に生命維持装置はつけない。安楽死は無条件で賛成する。本書にも紹介されている作家の古山高麗雄さんの孤独死もいい。いま「餓死」でもいいではないかと考えている。競馬がボケ防止に役立つとは知らなかった。吉永さん同様、来週も頑張ろう。

 

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