2002年(平成14年)7月20日号

No.186

銀座一丁目新聞

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花ある風景(100)

 並木 徹


 劇団「ふるさときゃらばん」が新作ミュージカル「パパの明日はわからない」を巡演中である。東京では9月1日から23日まで赤坂ACTシアター、9月25日から29日まで東京芸術劇場でそれぞれ公演する。
 筆者は大阪の近鉄劇場で見た(6月22日)。食品会社が舞台。リストラを部下に命じた課長がリストラにあうがめげずに奮闘するストーリーである。観客の中にはみにつまされて嗚咽した人もいたという。きゃらばんの俳優たちはいつものように迫真の演技を披露する。製造課長(谷内孝志)、物流主任(大塚邦雄)、祖父、(小島茂夫)のベテランが相変らず、達者なところをみせる。ついつい舞台に吸い込まれて、時間のたつのを忘れる。
題がいい。政界には「一寸先は闇である」という言葉があるが、景気はやや取り戻したとはいえその行き先は不透明である。失業率が6%近くとあっては、サラリーマンの明日はやはりわからないというほかない。
 その不透明さを破るものは、創造力、勇気、希望、情熱、挑戦であろう。舞台ではそれをユーモアーと笑いのうちに見せてくれる。東北支社の営業部員(斉藤勝洋)のアイデアによる新商品開発である。会社に尽くしながらリストラされた課長(小山田錦司)のスーパーの雑用係りへの勇気ある転進である。専業主婦からインテリアコーディネーターとなった課長の妻(沖山稔子)の希望の反逆である。
 今の時代「サラリーマンの幸せはママ次第」かもしれないが、昔から家庭円満の秘訣はカカ天下であった。今も変るまい。
映画「ライム・ライト」でチャップリンは言った。「人生はどんなつらいことがあっても、生きるに値する。それには三つのことが必要だ。勇気、希望、そしてサム・マネーだ」。
 私自身の明日もわからないと思いながら劇場をあとにした。その夜、友人との中国語研究会で大敗した。私の今夜はわからなかった。嗚呼・・・

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