競馬徒然草(17)
−絶滅の危機−
絶滅の危機に瀕しているものといえば、人はまず何を挙げるだろうか。森林や花などの植物を挙げる人が多いかもしれない。乱開発や自然破壊により、確かに植物は激減し、絶滅の危機に瀕しているものもある。が叫ばれているに瀕しているものもある。地球規模の問題になっている。
サンデーサイレンス産駒の良血で、デビュー前から高い評価を得ていた。ところが、事件で馬主は馬主登録を剥奪され、馬もセリに出された。事件のイメージが悪く、買い手がつかなかった。いったん生産者に戻された後、紆余曲折を経て現在の馬主(荒木栄一氏)の購入となった。その馬が、嫌なイメージを吹き飛ばすようなデビュー勝ち。関係者もひとまず胸を撫で下ろしたことだろう。だがレース後に、右前脚の剥離骨折が判明、手術することになった。今後の出走は12月の予定といわれる。不運はどこまで付きまとっているのだろうか。
今年の夏競馬には、昨年までとは異なる話題がいくつかある。その1つは、2歳の新馬戦が函館、福島、阪神の3場で同時にスタートしたことだろう。2歳馬の早期デビューを図るため、番組が改編された。「6月から2歳路線をしっかりと整備する」という意図による。番組に合わせて2歳馬を早期にデビューさせるためには、馬の育成、調教も早める必要がある。当初は、「果たしてレースが成立するだろうか」と心配する向きもあった。だが、開幕週2日間で函館42頭、福島41頭、阪神40頭と、3場9レースで123頭の出走ラッシュとなった。
2歳馬のデビューを早める一方、1年経っても勝てない馬の「3歳未勝利戦」が、早期に打ち切られるようにもなった。早めのデビューで鍛えられ、本来の優勝劣敗の法則がより強く作用することで、日本の馬のレベルが高くなることが期待されている。ダービー、オークスまでのレースがより激烈なものになるとともに、海外遠征の活躍馬が2歳、3歳にまで広がっていくことも期待されている。
もう1つの話題は、福島で新馬券の馬単、3連複が試験的に発売されたことである。7月13日から全国発売となるので、改めて、その概要に触れてみたい。馬単(馬番連単)は、1着、2着を着順通りに当てる馬券。着順に関係のない馬連(馬番連勝)より難しく、配当も高くなる。福島2日目の第6レースでいえば、1着M、2着Jで、馬連JMの配当は2340円。これに対して新馬券の馬単MJは5580円。2倍以上の高配当。
このレースの3連複はどうか。MJCと入ったが、着順に関係なく当たりとなる。つまり配当はCJMで
9620円。3着のCが7番人気だったため、高配当となった。1、2着が人気馬でも、低い人気の馬が3着にでも入ると高配当になり、妙味があるようだ。
枠番連勝複式(枠連)が登場したのは63年。その後、馬番連勝複式(馬連)が91年、ワイド馬券が99年に登場。そして2002年の今年から、馬単・3連複の登場。それぞれに時代を反映している。そういう眼で、世の中のさまざまな新製品の登場を振り返ってみるのも、面白いように思われる。 (宇曾裕三) |