1998年(平成10年)11月1日(旬刊)

No.56

銀座一丁目新聞

 

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ゴン太の日記帳 (22)

目黒 ゴン太

 「和歌山保険金詐欺事件。」この件に関する報道は、今だに絶え間なく続く。少し下火になったかと思うと、まるで、計られたのように、新しいネタが出てきて、“新事実”と名打ってテレビ、新聞のTOPで扱われる。そして、その取り扱いの多さで群を抜いているものと言えば、平日の朝から夕方にかけてのワイドショーに勝るものはない。

 オウム事件以来、TBSはワイドショー形式の番組を自粛していたが、最近、2時枠で、復活させた。自分は、このTBSの一連の行動は、全く納得がゆかない。何の為の自粛であったのか、時間が経ったことで解決するものであったのか。今回の復活劇で見えてしまうのは、他の民放が追う大きいネタ(ヒソカレー事件等)がもたらしているであろう視聴率欲しさに、耐えきれなかったとしか見えない。オウム事件時のTBS問題において学んだ筈の最大の教訓は、こうした他局との過熱した報道合戦の中で生まれる、スクープ欲しさのジャーナリストにあるまじき行動を起こさせない様に努めることではなかったか。

 世論も、TBS問題時、あれだけ高めたメディア批判の答えを、何故、今、林夫婦の私生活、生い立ち、交友関係にまで及ぶ過剰なワイドショー、ニュースショーに対して、高い関心(好視聴率)を示すことにしているのか。自分達、視聴者側は、ワイドショーの今の番組体制に対して、NOという意思表示をする理由が二つある。前述のTBS問題の二の舞を防ぐ為にも、又、使命に燃える正義の使者面のリポーターが犯す、犯罪報道における人権侵害をやめさせるためにも、過熱する特ダネ競争をさせないようにする為。又、いま一つは、本当に我々のとって、役に立つ情報を、求め、TVの質の向上を促す為に必要なのだ。それには、視聴者を無視した番組をたれ流すメディアに対して、単なる興味本位で、こうした番組にチャンネルを合わせないようにし、我々から、メディアを改善してゆく心構えが、今必要に考える。本来は、情報を与える側が、自らを自制すべきが、普通にあるべき姿なのだが…。

 

 

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