2009年(平成21年)11月20日号

No.450

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茶説

「事業仕分け」と言う猿芝居

牧念人 悠々

 2010年度の概算要求の無駄を洗い出す「事業仕分け」、どう見てもみても茶番劇としかうつらない。政治はますます劇場化してきている。公開の「ワイド政治ショー」である。前半の作業で4900億円削減し、30を超える事業廃止・見送りとなった。それなりの成果を上げたようである。
 民間の知恵を借りるのは別段悪いことではない。税金の使い方だからという理由で公開したのであろうがこの種作業で公開非公開のメリットとデメリットはどうか。非公開の方が公平で妥当な結果が出るように思う。国の予算は政治の反映である。時の政権の政策が如実にでる。民間人の考えはあくまでも政治性を抜きにした判断である。ここに政治の夢は無駄、時期尚早、実用的でないなどの理由で拒否される。たとえば原口一博総務相が「未来の人材を育てるため」と力を入れたICT(情報通信技術)関連事業は「廃止」と「見送り」となった。また官民共同で行ってきた次世代スーパーコンピューター事業も「来年度の予算計上を見送り、かぎりなく近い縮減」となった。スーパーコンピュータは米中の間で開発競争が激化している。「なにも世界一にならなくてもよい」と仕分け人からの言葉を聞いた。日本がこれから生きる目標の一つに「技術立国」という確固たるものがあればこの事業は推進すべきであると思うのだが・・・。
 仙谷由人行政刷新担当相は「事業仕分け作業」を革命的だという。鳩山由紀夫首相が「日本が変わる」と言うに至っては驚くほかない。無駄を省くというのだから仕分け人たちは担当省庁の役人に攻勢をかけることができる。テレビで見る限り仕分け人たちは威ただけであった。担当省庁の役人が哀れに見えた。塹壕にたてこもる敵に財務省の手助けを得て斬り込むのだから勝利は目に見えている。革命的というのは弱者をいじめることか、公開でのいじめを言うのか。この事業仕分け作業は「公開つるしあげ」に見える。かって中国で猛威をふるった“紅衛兵”を思い出させる。
 国内問題はともかく鳩山由紀夫首相は国家間の約束を守らないつもりか。沖縄の普天間飛行場の辺野古・キャンプ・シュワブ沿岸部移設問題は日米合意に基づくものである。「沖縄県民のみなさの意思が大事」などとポーズを取らずに日米同盟・安全保障を考えて年内の決着をつけたらどうか。またアフガニスタンの支援は一体何か、「軍事的支援はいやだからお金を出します」という態度は各国が血を流しながら復興に支援をしている国際協力・国際貢献からほど遠い。すでに湾岸戦争(1991年)に日本は130億ドルの資金を出しながら諸外国から一向に感謝されなかった、苦い過去がある。日本はお金を出せばそれで事は済むと思っているのかと諸外国から軽蔑されたではないか。アジア共同体構想もオバマ大統領の「米国は太平洋国家であって、この地域に関与し続ける」として、中国との戦略的信頼関係を発展、深化させる共同声明の前に色あせて見える。米国は日露戦争後から西へ西へと進んできた。大東亜戦争はその一つの帰結であった。戦後それが日米同盟となって今日まで来た。その日米同盟を空洞化させようとしているのが鳩山政権のやり方である。どうみても鳩山由紀夫政権は長く持ちそうにない。