2009年(平成21年)8月20日号

No.441

銀座一丁目新聞

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茶説

民主党政権が誕生する
 

牧念人 悠々

 総選挙の結果、民主党政権が誕生する。新聞各紙の世論調査では民主党が過半数を制すると伝える。投票率が70パーセントを超えると見られるので無党派層がどっと民主党に流れるからである。都議選と同じく自民党の有力議員が落選する。たしかに政権交代は望ましい。有権者の選択だから尊重する。だが、民主党を中心とした連立政権の前途に一抹の不安を感ぜざるを得ない。政界再編への動きが予想される。
 「ひとり飲むコーヒーの味ほろ苦き」の心境である。
 ともかく民主党の政策は国民に迎合するものが少なくない。この日本をどこへ引っ張っていこうとするのか、そのビジョンがない。私が気にくわないのは民主党の鳩山由紀夫代表が靖国神社に代わる無宗教の国立追悼施設を主張することだ。すでに戦前から国のために命を捧げた英霊を祀る靖国神社があるのに、なぜ屋上屋を重ねることをするのか理解に苦しむ。また海上自衛隊のインド洋での給油活動は来年の1月で取りやめるという。日本が他の民主国グループと一緒に国際協力をしているところに意義がある。さらに「脱官僚」を主張する点である。これも問題である。もう少し考えた方が良い。たしかに日本の官僚が「公僕」でなく政治をわがもの顔にしてきたことは事実である。中央集権、画一主義、役人万能主義、天下りなど悪い面が多々ある。それを改め、官僚を活用すべきである。それだけの人材が官僚にはいる。こう見てくると、ひとりすするコーヒーの味は苦いというより悲しくなる。
 それにしても自民党はだらしなかった。まず年金問題でケチをつけた。決定的に流れを民主党へ向けたのは「後期高齢者医療制度」であった。これほど老人いじめの政策はなかった。小泉純一郎首相の後、安倍晋三首相、福田康夫首相、麻生太郎首相と三代次々と短命内閣ができたのも国民に不信と不安を抱かせた。また自民党内部に起きたごたごたも不評を買った要因であった。また今年、「変革・チェンジ」を唱えたオバマ米国大統領が誕生したのも見逃せないであろう。
 投票日の8月30日の「花言葉」は「キツネノカミソリ」で“妖艶”である。「恐れては遠目に見たる花なりきキツネノカミソリ群れる初秋」と詠んだ歌人・鳥海昭子さんは「葉が出る前に花を咲かせるキツネノカミソリ。その不自然さと名前の不思議さが相まってか,幼いころは何か恐ろしいイメージを抱いていました」と解説する。
 鳩山由紀夫代表を“妖艶”といわないが、問題を多く抱えた民主党を中心とした政権に有権者はだまされることなく、厳しく監視しなければなるまい。