浴衣が流行っている。「ユカタ」と言った方がよさそうだ。着ている人が圧倒的に若い女性、それも十代の少女たちと言ったところだから、「浴衣」を「ヨクイ」と読んでしまう危険性ありで、何のことやら分からなくなるおそれがあるからだ。

　で、先だっての週末お台場の方へ足を運んでみたところ、ききしにまさる人、人、人のごったがえし。涼みに行ったつもりではないが、これじゃ冷房のない満員電車に乗ってる

　みたいな感じで、ほうほうの体で逃げ出した……かったのだが、ここで目についたのが少女たちの浴衣姿。みんながみんな、申し合わせたようにデパートの浴衣売場のマネキンそっくりなのはいったいどういうことか。浴衣をユニホームにした会社のデモンストレーションにしては、それらしい状況が見当たらない。それぞれが男の子と腕絡ませてブラブラ歩いているのだからユニホームであるはずない。

　なんのことはない、彼女らはなに一つ工夫するでもなく、手提げ袋・履き物までぜ〜んぶ、売場にディスプレイされた浴衣をそのまま身に付けているだけなのであった。ここまでくると柄の違いや帯の色まで区別がないように錯覚してしまう。