2006年(平成18年)9月1日号

No.334

銀座一丁目新聞

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競馬徒然草(89)

―番狂わせの馬― 

  センギョウシュフという名の馬が勝った。2歳牝馬。名前がおもしろいので気に留めていたが、デビュー戦は13着に惨敗。レースは後方のまま、いいところがなかった。この緒戦のレース結果を見る限り、2戦目の人気薄も当然だった(8番人気)。ところが、なんと鮮やかに勝ってしまった。後方からレースを進めたのは緒戦と同様だが、直線では鋭く伸びて、前を行く馬群をまとめて差し切ってしまった。当然、大穴になった。この変わりようは説明の付けにくいものだ。
 それにしても、この馬の馬名には恐れ入った。今回の大穴も、まさに「専業主婦」の底力というところだろうか。馬名の由来はわからないが、馬主の奥さんを想定してのものだろうか。馬に女性の名前を付ける例はあるが、今回のようなケースは珍しいのではないか。
 試みに、変わった名前の2歳牝馬を少し挙げてみる。チャーミングギャル、セクシーザムライ、イカガデスカ、イダテンムスメ、ゲンキイッパイ、ニシノマナムスメ、ミナミノオドリコ、コイサン、シアワセノカゼ、といったところだ。いずれも未勝利だが、近いうちに勝てそうなのはどれだろうか。
 変わった名前ではないが、番狂わせを演じた馬にマイネルレーニアがいる。こちらは牡馬だ。デビュー戦が10着だったため、2戦目は10番人気だった。それが予想を覆して、鮮やかに逃げ切ってしまった。本来のスピードを見せつけたわけで、次のダリア賞も1番人気で逃げ切った。2戦目から実力を発揮する馬もいるわけで、そこに競馬の難しさもある。

( 新倉 弘人)

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