2006年(平成18年)2月1日号

No.313

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競馬徒然草(70)

―競馬新聞の予想方式― 

 ポスト小泉を争う9月の自民党総裁選に向けて、メディアの予想が活発だ。おもしろいと思うのは、競馬新聞のように、有力候補を挙げて印を付けていたのもあることだ。本命を示す○印のほか、穴馬を示す▲や△印を付けているという具合だ。読者に分かりやすくするためだろう。確かにひと目で分かり易い。
  政治関係の記事に、競馬新聞の予想方式を使うことに異論を唱える人もいるかも知れない。確かに「お遊び」のようなものが感じられる。しかし、分かり易い点のあることは否定できない。「お遊び」といったが、「ゲーム」と置き換えてもよい。つまり、前記の総裁選の予想記事に感じられるのは、ゲーム感覚だ。現代のさまざまな現象を眺めると、この「ゲーム感覚」というのを無視できないようだ。
  ところで、総裁選の予想にも利用された予想印の方式だが、本家本元の競馬新聞で、あの方式はいつ頃から始まったのだろうか。関心のある人は、一度調べてみるのもおもしろいだろう。そもそも、あの方式を最初に考え出したのは誰だろうか。「お遊び」の世界とはいえ、最初の考案者は大した人物だといえるだろう。さらに想像を加えれば、そして冗談めいたことを加えれば、特許は申請したのだろうか。申請はしたが認められなかったのだろうか。などと考えるのも、「お遊び感覚」のせいだろうか。
  かなり以前のことだが、電車の中などで競馬新聞を読むのが憚られた時代がある。競馬をやることが悪いこととされ、白眼視されたのだ。しかし、今は総裁選の後継者予想にも、競馬新聞の予想方式が登場するほどだ。時代の変化を、こんなところにも見ることができる。古くからのファンには、感慨深いものがあることだろう。

( 新倉 弘人)

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