2005年(平成17年)11月20日号

No.306

銀座一丁目新聞

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安全地帯(127)

信濃 太郎

 キレイはマネから おしゃれは勇気

 月刊「ぺるそーな」発行人、浜田マキ子さんが「キレイはマネから おしゃれは勇気」という美女の写真54枚も掲載した本(ページ数137頁)を出版した(発行所DHC)。読者は女性を対象にしたものだが男が読んでも興味深い。
 「年齢とともにキレイになる人の多くは、若い頃は美人でなかった人。キレイは心がけ。自分の個性に自信を持って、それを磨いてきた人です」。本人は本の中で自分の年を明らかにする。日野原重明さんが言うように7掛けしても十分通用する。美女である。つい最近も友人たちとの食事会に浜田さんも顔をみせた(11月16日・日本記者クラブのレストラン)が、その自説を裏書きしていた。「化粧は文化であり、女の知性です」と主張する。世阿彌の「風姿花伝」が出てくる。「秘すれば花なり、秘せずば花なかるべからず」。浜田さんの生い立ちを初めて知った。親を知らないマキ子さんを育ててくれたのは木挽町の待合の女将である。そこで「純真で真っ白な心を持った」座持ちの良いちびっ子はお客から可愛がられる。毎朝新聞を読んで聞かせてくれるインテリ婆やのおかげで3歳の頃にはほとんどの文字を覚える。返事は「ハイ」「聞かれないことを勝手にしゃべってはいけませんよ」と良く聞かされたお婆さんの注意は人生の教訓となり大いに役にたつ。「三つ子の魂百まで」といわれる。この時期が人格形成で一番大切である。恵まれたと言うべきであろう。細胞にあるクオリア機能でいつもキレイな人見ているとキレイになるそうだ。「キレイはうつる」のである。仲の良い夫婦がだんだん顔が似てくるのはこのためであろうか。「美女、それは女が自分が磨いて手にする勲章です。美女は個性です」という。
 ジェンダー・フリーを批判する。女が男と同じことをすること、男と肩を並べることで男の支配に対決しようと、いたずらに片意地をはるものです。それは男の論理の裏返しに過ぎない。賛成である。「永遠なる母性は、その翼に男を包んで大空に舞い上がらせます」。女性はこれぐらいの気概がほしい。マキ子さんがやっと得た持論は顔と体をシンメトリー(左右対称)にすることだ。そのために舞妓さんや芸妓さんのお化粧を手本にしたり、様式美、シンメトリーの美しさ、「美は乱調にあり」などを実感するために歌舞伎座をよく見る。
 ともかくキレイになるための珠玉のような言葉がいっぱい書かれている。マキ子さんはこれを一行でまとめる。「心に師匠を持つこと。そして私の机の上にはいつもエブァ・ガードーナー」なるほどマキ子さんの顔はガードーナーに似ている。私は「心に武士道を唱え、書斎に『雪ふる一人一人ゆく』(山頭火)の額を掲げる。

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