2005年(平成17年)11月20日号

No.306

銀座一丁目新聞

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(2)
藤田 東悟

−いたち君へ−

 十分に乾燥したオカリナ達が焼かれることを待っている状態で、「早く焼いてくれ」と言わんばかりに棚に並んでおります。10月9日、朝5時に起き6時より窯に火を入れ9〜10時間くらいかけ900度で焼き終える予定で窯焚きを始めました。夏とは違い少しうす暗さが残っている時間帯の窯焚き始めでした。窯に行くには草刈後10cm〜15cmくらいまでに雑草が伸びた幅4m、長さ20mくらいの下り勾配の通路を下って窯まで行きますが、窯焚きを続けて4時間後の10時頃、窯の温度が400度程度になった頃、なぜ後を振り返ったか分かりませんが、なぜか後斜めに顔を向けました。そしたら通路を横切る「いたち君」が雑草の中におりこちらを向いて目と目が合ってしまいました。距離を計ったら10mで、時間的には0.1秒か0.2秒だと思います。次の瞬間に隣の藪の中に瞬時に消えていきました。声こそを上げてはおりませんが私の心の中では「イタチだ」と大声を出し立ち上がり、「いたち君」に出会えた喜びに飛び跳ねている自分がおりました。その時の「いたち君」のかわいらしさ、愛くるしさ、そして知的で、自然の中で生き延びている凛とした顔つきがいつまでも忘れられません。0.1秒でも毎日毎日その時の事を思い出しますので1分くらい目と目が合っていたように思い出され、また会えないか、出てきてくれと願っている日々が続いております。その時が「いたち君」を見たのは3度目だと思います。1度目は横の畑でネズミより大きい黒いものが横切ったような気がし「イタチ」ではないか思いましたが、この地域の事はあまり知らない新参者ですので、その畑の持ち主に話をしたら「イタチはよく出るよ」との話で、興奮している私に比べこの地域では普通にあるあたりまえのことだと話をしていました。2度目は夜、帰宅の途中で農家が出荷出来ない農作物を捨てている所で食事中の動物に車のライトが当り、急いで道を横切る短足で胴が長くダックスフンドを小さくしたような形をした動物がおりました。その時は横から全身を見ることが出来、「イタチ」だと確信いたしました。「イタチ」はライトが毛に当って光っており周りの暗闇に中にいぶし銀の綺麗な姿が浮き上がっておりました。

 周りの畑で農作物を作っている農家の方は、畑に来ていたずらをするので「いたち君」をあまり良く思っていない様ですが私は大歓迎です。2〜3日前に明日取り頃だと思っていたイチジクが鳥に食べられたのとは違った食べ方をされた残骸が有りましたが、あれが「いたち君」の食事の跡だったのかもしれません。「イタチ」は夜行性だと思っておりましたが昼間出てきて私と顔を見合わせたので、そうでもなさそうです。であれば昼間イチジクを食べにきたのかも知れません。餌付けをする気はありませんがイチジクはいくらでも食べていいよと言いたいです

また会いたい。

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