山と私
(23)
国分 リン
−花の浮島 利尻・礼文−
会社の社員旅行は山をからめていつも決定される。今回は創立55周年記念旅行で利尻礼文に決定され6月4日羽田から稚内へ飛行機で出発。お天気が好く途中大きな雪の鳥海山を空から眺めとてもうれしい。1時間45分の空の旅で胸を弾ませ稚内へついた。宗谷岬や、JR最北端稚内駅を見学し、カーフェリーに乗り利尻島・鴛泊港へ着いたのは17時30分であった。まだ日が高く海への落日の美しさに思わずカメラを持ち飛び出した。
翌日は観光組と山登り組に分れ、もちろん私は山登り、早朝5時にお握りを貰いバスに乗り込み、登山口の北麗野営場へ着いた。若者達と、私達のグループに分れ出発。私は4年前の7月にこの地点へ沓形から利尻山(1,721m)へ登頂し17時30分ごろ疲れて辿り着いた思い出がある。ここへも亡き友Fさんと一緒である。 今回は朝なのでまだ元気があり、ルンルンである。甘露泉に着き喉を潤し水筒に詰め替えた。ふと周りを見るとオオバナエンレイソウの白い大きな花がたくさん咲いていた。少し登るとポン山と姫沼への分岐へ出た。また少し登るとエゾエンゴグサの薄紫の花たちが咲いていた。あいにくの曇り空で、途中雪も残り、道にもあった。2人の下山者に会い上の様子を聞くと、残雪があり、ガスと強風で頂上付近は危険ですよと、教えられた。元々5合目の展望台までの約束であり、若者達も戻ってくるだろうと思っていたら、4合目に私たちが着いたら彼らが下山してきた。ポツポツと雨も降り出した。私たちは5合目まで登ろうと歩いた。5合目樹林帯を抜け尾根に出て展望のよいところへ着いたが、雨とガスで何も見えずがっかりした。周りを見渡すとダケカンバの間にザゼンソウがたくさん咲いていた。一息いれて下山、あっという間に4合目に、誰も居ずひっそりしている。急いで下り、姫沼コースへ入る。この道は原生林がそっくり残りとてもいい感じである。でも沢を何度も渡るので、日陰には雪が残り、急勾配の下りが雨のためすべるので要注意である。ツバメオモトの大きな株に白い花をたくさんつけガスの中に浮かぶさまは幽玄である。やっとの思いで姫沼の木道に着いたが雨が相変わらず降り続いていて、景色がよくない。休憩場の管理人の若い娘さんが温かいコーヒーをサービス、心から感謝をし、温ま
った。親切にここからの帰る方法を教えてくれ、タクシーも頼んでくれた。濡れているのでまっすぐ温泉へ、居た。皆が姫沼へ行かずにまっすぐ温泉へ降りたらしく満足げである。島巡りの観光をとタクシーを3台チャーターして出かけた。私たちはゆっくり温泉に入り、午後2時も過ぎていたのでお昼を食べようとタクシーの運転手さんに聞いたらウニ丼がお勧めとのことで予約して、期待と空腹で喜んで食べに出かけた。大きな椀のご飯の上に2重3重のとれたてウニがどっさりのっており、おもわず歓声を上げた。美味しくて至福のときである。
6月6日(月)早朝カメラを持ちテシ岬へ日の出を撮りに登る。宿の窓から見るとグリーンの小高い丘の上に灯台があるところがテシ岬である。上に登ると360度の眺めで、利尻富士も最初は雲の中であったが突然雲が切れ姿を現したかなと思ったらまた雲の中へ何度か繰り返しお日様が出ると、とうとう姿を現した。その頃にはあちこちの宿から浴衣姿にサンダル履きの集団が登ってきてびっくりした。下りる途中エゾカンゾウの花やエゾヒナゲシの黄色い花が咲いていて幸せである。眺めのよいところにカフェがありコーヒーの香りに誘われてコーヒーとビールを美味しくいただく。
10時に利尻からカーフェリーで礼文島へ、この船旅は青空のせいで利尻富士の眺めもよく、鴎も餌付けされ、フェリーの後を追ってくる。注意書きを良く見ると餌をやってはいけないと書いてあった。やっぱり人間がいけないと思う。
10時45分礼文島到着。観光バスでメノウ海岸から礼文アツモリソウ群生地コースと桃岩トレッキングへ分れて出発。もちろんトレッキングを選ぶ。鴛部灯台までバスに乗り、そこから歩き出す。さんさんと陽が当たり歩き始めるとすぐにハクサンチドリがいっぱい咲いている.ミヤマオダマキやキジムシロの黄色がきれいだ。左右の笹原の広がりにところどころお花畑があり、振り返ると海が輝き、利尻富士もそびえて、別天地である。元地灯台の周辺はレブンハナシノブの群生とチシマフウロが咲き乱れている。ここは前回もヒオウギアヤメやレブンシオガマのお花畑であった。ここからロープが張られたコースを、海へ落ちる崖に咲くエゾハクサンイチゲの一面のお花などの風景を見ながら3時間ほどの快適な歩きだ。エゾコザクラが赤い可憐な花をたくさんつけ、風にゆれている。あちこちにたくさん咲いている。エゾオダマキやオオバナエンレイソウやレブンキンバイソウやクロユリなどとにかくお花畑の続くコースである。途中少ない食料を8人で分け合って美味しくいただく。各自準備したらもっと豪勢な豊かな食事が出来たろうと反省。進行方向左の海の上におおきな桃の形の岩が見えた。これが桃岩であるのがすぐわかる。これを目前に展望台が出来ていてそこが今日の目的地である。展望台は大勢の観光客がいた。ここへ少しの距離で着くコースが何通りもあるのだ。ここで少し休憩をして香深までの歩く道をいく。15時30分宿へ到着。今回の予定はすべて終わり、明日は飛行機で帰るのみ。心残りはレブンアツモリソウのこと、保存をするため管理されていて見る時間が決められていて、早朝など無理とのことでした。今回は見ごろで観光コースの人の写真で我慢した。
私にとって季節の違う花の浮島へまた訪れることが出来たのは、大感謝であり、忘れられない思い出である。 |