1998年(平成10年)5月10日(旬刊)

No.39

銀座一丁目新聞

 

ホーム
茶説
映画紹介
耳よりな話
個人美術館の旅
連載小説
ゴン太の日記帳
海上の森
告知板
バックナンバー

ゴン太の日記帳 (5)

目黒 ゴン太

  真新しいリクルートスーツに身を包み、「アチー!」と汗だくになりながら歩き回っている人々を、時間を問わず、街の至る所で見かける様になってきた。今年も就職戦線到来といった感じだろうか。しかし、今ではもう当たり前の様だが、不況、不況の嵐で、今年も大変厳しい状況のようだ。そんな中でも、めげずに懸命に動き回っている彼らを見て、「大変だなあ」と単純に思うのだが、あと12年後には、自分ももしかすると、彼らと同じ様な事をしているかもしれないと考えるとゾッとする。

 少し前までは、苦労して大学に入れば、ある程度、就職については、安心して構えることができたが、今では、大学進学する人々の割合も非常に高い上に、就職先の求人数は減る一方、これでは、大学に行く意味などないなどと唱える人まででてきた。要するに、日本の受験戦争に打ち勝てば、人生成功する神話が、通用しなくなってきているのだ。そんな状況を前にしてか、中、高生の間に、自分達の将来に希望を持たず、ただ日々を過ごすだけの考え方が広がっているらしい。

 しかし、こんな状境だからこそ、今まで日本での普通を打破して、自分の生き方に活路を見い出しやすくなってきたのではないか。要するに、日本の就職戦争に、人生をかけることをやめても良いと考えてはどうかと言っているのだ。確かに、今までは、“型”が有った為、あまりよく考えなくても、案外楽に就職でき、又はできてしまったから、“自分”を生き方に取り込むことなくやってこれたが、これからは、否応なしに、真剣に考えねばならないし、そこで、自分の考え、したいことを取り込んで行くことも必要に思う。もし、それがうまくゆかなくても、ちょっと寄り道したと思えばいい。自分は、寄り道をいっぱいした方が人生楽しめそうに思うので、これからも、色々やりたいことをやる努力はしていきたい。

 

このページについてのお問い合わせは次の宛先までお願いします。
www@hb-arts.co.jp