1998年(平成10年)5月10日(旬刊)

No.39

銀座一丁目新聞

 

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耳よりな話

王監督と麻雀

 プロ野球のダイエー監督、王貞治さんといえば、野球一筋、それも求道者のような雰囲気すら漂っている。眉間のシワがそう思わせるのかもしれないが、フェアで何事にも真剣といった感じである。その王さんの名を冠した「王貞治杯争奪BIGCUP」という麻雀のプロたちの熱き戦いが4月28、29両日、東京・赤坂の山王飯店で繰り広げられた。“世界の王”さんとプロ麻雀の意外な取り合わせ、である。

 この麻雀選手権に出場したのは麻雀名人位・井出洋介さん(42)や井出さん主宰の「麻雀連合」トーナメントツアー歴代優勝の実力者たち。井出名人は“東大卒のプロ雀士”と話題になった人だが、「ギャンブルでない競技としての麻雀復活」を目指してテレビなどで活躍している。麻雀連合のルールは、偶然性を極力排して、囲碁・将棋のように腕を競うことを主眼にしている。

 王さんがこの麻雀選手権に一肌ぬぐことになった経緯はこうだ。

 今回の会場になった山王飯店。実はここの初代社長と王さんの父が、ともに中国からの移住者で「寧波旅日同郷会」の古くからの友人だった。王監督は同飯店取締役でもある。

 今社長は息子の張建民さん(42)に代わったが、建民さんは無類の麻雀好きで、麻雀連合の一般会員。それが今年1月、セミプロ相手のトーナメント第6戦に出場して優勝してしまったのだ。「この健康的な麻雀をもっと広げるために、王さんの力を借りましょう」と建民さんが発案して実現した。

 夜の表彰式に駆けつけた王さん、「いや、技を究めた方々の競技は緊張感がありますねぇ。感動しました。お役に立ててうれしいです」。ところが、肝心のダイエーホークスはこの日のデーゲームで、ついに8連敗を喫していた。期せずして雀士たちから「監督、今年のダイエーには期待しているんですよ」。その願いが通じたのか、翌30日に連敗をストップ。その後は王ダイエーの連勝、連勝の快進撃が始まった。

 余談だが、中国・寧波(浙江省)は、麻雀の発祥の地と言われている。1860年ごろ陳魚門という人が136牌の現代のゲームを完成させたそうだ。奇しき縁ではある。(洋)

 「麻雀連合」は昨年発足し、サラリーマンや学生など一般を対象の定例会や麻雀教室も開いている。くわしくは電話03−3309−1008へ。

Majong Walker のホームページ http://www.mahjong.or.jp

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