2005年(平成17年)3月10日号

No.281

銀座一丁目新聞

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山と私

(17)
国分 リン

−アイスクライミング初体験−

 「山はエンドレスの世界である。山を登る技術を磨くことも終りのない世界なので、取り付かれる人が多く、離れられない魅力がある。」と私がアイスクライミングの初体験をしたとスポニチ登山学校の尾形先生に話したら、この答えが返ってきた。尾形先生は同じ週に12時間のラッセルをして赤岳のバリエーションコースを征服した話をしてくれた。

 スポニチ写真教室で知り合った2期生の内野さんに「アイスクライミングを教えるからどう?」の誘いに好奇心旺盛な私としては、どんな場所で、どんな風に登るのか、せめて写真ぐらい撮れるのではと甘い考えで「是非教えてください。」と申込みをした。私としては年齢にこだわり、再度この年齢でも教えてくれるのかと再確認したら、年齢ではなく、やる気があるかどうかでしょうと、内野先輩がサラリとかわした。

 ハーネスと12本爪アイゼンを準備して内野さんの車に便乗して
韮崎の駅前でお仲間3人と同行し、目的の佐久の湯川へ向かう。川沿いの林道を20分ほど走った所に車が駐車してあった。仲間が先に来て、トップロープを張り待っていたと、迎えにでてくれた。皆で8人である。装備を着け、湯川を右に左に3回渡渉したところに
別のパーティーがすでにトレーニングをしていた。大きな氷柱に光が当たりキラキラ輝いていた。15mほどの高さで幅8m位の氷柱があり私にとっては始めての景色であり、一滴の水滴が氷になって重なりあいあの大きなツララになるのか不思議である。
 アックス(氷に突き刺すピッケルの小さいハンマーのような物)を両手に持ち、氷用のアイゼンをつけ、ハーネスにロープをつけ垂直の氷壁を登る。2人ペアーで1人はビレーといってロープを操って登る人をサポートし、下ろす役目をする大事な人と知った。
 ドキドキと鼓動が聞こえる。皆親切にアックスの打ち方、ぶら下がり方、アイゼンを氷に指し爪先立つ方法を教えてくれた。アイゼンが氷用もあるのを始めて知り驚く。せめて3回ぐらいは経験しないと帰れそうにない内野講師の調子なので、覚悟を決め、ハーネスにロープをつけ挑戦した。体が重く、片手に体重が乗るときつく、最初は氷柱の半分ぐらいで根をあげておりた。いささか興奮状態である。向かい側の滝が円柱状に凍った場所にトップロープを張りそこでも練習が始まった。ここは足をかける場所が難しく、あえなくアックスを4度打って滑り落ちて宙ずり、ビレーの人に迷惑をかけた。不思議と恐怖感は湧かなかった。また元のゲレンデに戻り、皆の素晴らしいトレーニングを飽くことなく眺めた。最後だ上まで頑張れのコーチの声によしと負けん気がおきたが、技術不足は明らか。
 私の今までの山の体験とはほど遠い世界に飛び込み訓練している人達が大勢いるのに先ず感心し、あらためて奥の深さを知った。フリークライミングでトレーニングをして、最後まで完登したい。少しでも前へ進みたい。でも体力と年齢が頭を掠めるが、持ち前の会津女の根性でトライしようと決意した。

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