2005年(平成17年)2月1日号

No.277

銀座一丁目新聞

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安全地帯(99)

信濃 太郎

 生きようぞ頑張りましょう青葉窓 (清七)

 「銀座俳句道場」の同人、津上清七さんから句集「肩車」(自鳴鐘叢書第七十九輯・間程シリーズNO5)をいただいた。同人が句集を出すのは始めてである。津上さんは平成15年4月からの会員で、毎回その月の兼題を早く投稿されてくる。昨年五月の兼題のひとつ「憲法記念日」には次の句で「地」に入賞された。

  <憲法記念日大海に浮くペットポトル>

 選者の寺井谷子さんは「空虚なペットポトル、論議される憲法改正。シビア且つ現代性に満ちております」と評された。
津上さんの自分史によると戦前、第1回少年航空兵(昭和9年2月教育開始)に受験。学科他は合格したが身長が1センチ足りず不合格となっている。合格であれば真珠湾攻撃で戦死していたであろうか?としるしている。また友人と文芸誌を出すなど文学少年であったとある。
 津上さんが5回も脳梗塞にかかられたとは知らなかった。リハビリのために「俳句」と「パソコン」をはじめられたという。大正11年生まれの津上さんがパソコンに打ち込まれるとは立派である。この年になると、いまさら覚えてもとしり込みするものが多い。この人に掛かると、パソコンも素材となる。

  <パソコンの疲れに春の夜を眠る>
  <パソコンに座りて0時冴え返る>

 人間は「病気」「貧乏」「牢獄」を経験すると大きく成長するといわれる。
 津上さんは幼くした父母をなくし、姉妹とも別れ叔父、伯父に育てられる境遇の中で育つ。戦後は様々な仕事を経験したあと、自立する。

  <リハビリの舌の出し入れ秋の雲>
  <まっすぐに生きてるつもりねじり花>
 句集の序文で寺井谷子さんが「矜持の源を、この一句に思う」とあげた句で締めくくる。

  <五ケ浦の津上屋清七夏の潮> 

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