2005年(平成17年)2月1日号

No.277

銀座一丁目新聞

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競馬徒然草(40)

―新調教師への期待― 

  1月21日から新しい調教師が開業した。美浦の奥平雅士(32・旧姓斎藤)調教師。昨年2月の調教師試験合格から11カ月間、研修生活を送っていたもので、現役最年少の調教師となる。奥平調教師が注目されるのは、32歳という若さだけではない。実にさまざまな研修生活をしていて、これまでの調教師にはない魅力を感じさせる。
 まず、英、愛、仏で実地に本場の研修をしている。国内では、栗東・森厩舎で最前線の調教術の吸収にも努めた。社台ファームに住み込み、馬の生産・育成についても学んでいる。デュランダル(昨年度の最優秀短距離馬)の半弟を出産時に取り上げる貴重な経験もしているようだ。実にさまざまなことを学び、吸収しようとしている。いかにも積極的な姿勢がうかがわれる。
 さらに注目されるのは、馬主でも知られる経営コンサルタント、堀紘一氏の下で学んだことだ。パソコンの習得、電話の応対、企画のプレゼンテーションまでこなしたという。特にIT技術は厩舎経営に生かす考えのようだ。馬主への連絡や報告にもメールが便利。しかも馬の写真も添付できる。こうしたことは馬主との信頼関係を築くことになり、さらに新規の馬主獲得にも繋がるだろう。こうして見てくると、まさに新しいタイプの調教師の誕生といえそうだ。
 とはいえ、今後の道は楽なものではないだろう。もともと調教師への道は険しく、難関の試験を突破しても、実際に開業できるまでに何年もかかることが多い。厩舎に空きがないと、開業できない。その点、今回の奥平雅士調教師の場合、数少ない幸運に恵まれたケースといえるようだ。昨年2月の調教師試験合格から、ほぼ1年待たされたとはいえ、今なお待機している人のケースを考えると、数少ない幸運にも恵まれた。その異例の若さと、熱心な精進による「強い馬づくり」に期待したい。

( 新倉 弘人)

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