2005年(平成17年)1月10日号

No.275

銀座一丁目新聞

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花ある風景(189)

並木 徹

山本卓眞さんの爆弾発言

 どちらかというと中国は好きな国である。少年期を中国東北部で10年も過ごしたし、中国人の同級生もいる。私たちの中学の同窓生はそれぞれの立場で日中友好・親善のために尽くしてきた。だが、靖国問題に対する中国の態度は 全く理解に苦しむ。どこの国でも国のために死んだ人たちを祀り、大いなる敬意を表するのは当然である。今年もまた靖国神社は若い人々の初詣でにぎわった。小泉首相が参拝したところで中国が言うように軍国主義が復活することはあり得ない。戦後60年、日本は他国に侵略、或は戦争を仕掛けたことはない。それに比べて中国はどうなのか、反省してみよ。中国は朝鮮、インド、ベトナム、チベットなどへ軍を進めているではないか、どちらが軍国主義なのか、覇権主義なのか。中国が声高に非難するのはほかに理由があるとしか思えない。財界人が「政冷 経熱」の現在の日中関係を心配するあまり、中国寄りの発言をするのを苦々しく感じていた。
 富士通名誉会長、山本卓眞さんが「諸君」の2月号に「財界人よ靖国に行って頭を冷やせ」−中国市場での目先の利益に目が眩み、小泉首相に靖国参拝中止を要求するとは言語道断だーの一文を寄せ、財界にかみついた。痛快な発言である。山本さんは富士通の社長、会長を歴任した名経営者で、現在も日本 経団連の会員である。
 「諸君」の財界人の発言を紹介すると、富士ゼロックス会長小林陽太郎さん(新日中友好21世紀委員会座長)「首相の立場で参拝することが中国国民の感情を逆撫でし首脳会談の妨げになっている」
 経済同友会の北城格太郎代表幹事(日本IBM会長)「(靖国問題は)日本の国内問題であると同時に、中国には、日本の首相がA 級戦犯を合祀している靖国神社に参拝することを快く思っていないという国民感情がある。最近のインターネットの普及もあって中国政府が一方的に国民の意識を制御できる状況でもはない。小泉総理が靖国神社に参拝することで、日本に対する否定的な見方、ひいては日系企業の活動にも悪い影響がでるということが懸念される。経済界の意見の大勢だと思うが、総理には今のような形での靖国神社に参拝することは控えていただいた方がいいと思う」
 財界首脳が一同に会した5日の新年パーティーは「経済復活へ攻め」の姿勢をみせたというが、山本さんの「経済の目先の利益ばかり追い求め、国家の威信・尊厳を二の次三の次に考えてはいけない」という言葉を肝に銘じてほしい。

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